ノンケに切ない片思いをしているゲイが見たい名作BL映画3選
・ゲイのぼくが人生の中で最も感動し心に残っているBL映画3選
男を好きになる男(ゲイ)というのは割合的に世の中で少ないはずなのに、男と男が恋をするBL映画というものは意外とたくさん存在する。しかしそのような映画の中にはとりあえず美しい男と男が恋していれば満足なんでしょうという気配しか感じられないものや、肉体的もしくは性的な要素に傾倒してしまっているもの、なんの前触れも突拍子もなくいきなり男の友達同士がお互いを求め合ってしまう展開のものなど、ゲイから見ていても「???」と疑問に感じるものが少なくない。もちろんそれぞれの映画に伝えたいことや方向性があるのだろうが、男同士の恋愛映画って情緒がなくてつまらないものが多いなぁというのがぼくのなんとなくの感想だった。
日常生活の中で男が女ではなく男を好きになっていく過程の中には、様々な迷いや葛藤や自己嫌悪の気持ちが入り混じり、けれどその全てを退けてしまうほど強力な根源的恋心というのが重要な要素になってくる。世間の常識や、正しさや、多数派とどうしても対立してしまう自分自身にもがき苦しみながら、最終的には自らの野生を抑えきれずに突き進んでしまうという、損得を顧みない無鉄砲な若きエネルギーとそれに伴う苦悩の繊細な心理描写は、男と男が恋する物語において欠かすことのできない情緒なのではないだろうか。
この記事ではゲイのぼくが見ていてとても感動したり、心から納得できたBL映画を3つ紹介しようと思う。
・「渚のシンドバッド」
多分全然有名じゃないんだろうけど、ぼくの中ですごく感動した日本の映画。有名じゃなくても、売れてなくても、日本には素晴らしい映画がたくさんあるんだなぁと教えられた作品。主人公は同じクラスのノンケの男の子に片思いをしているゲイの高校生。ぼくがこの映画を見たのは、同級生のノンケの男の子につらい片思いをしている大学生の頃だったので、主人公に感情移入してしまいこの映画が余計に心に焼き付いてしまっているのかもしれない。
映画の中ではゲイの男の子がノンケの男の子に恋をしているというのが物語の主軸だが、ありがちなことにそのノンケの男の子は同級生の女の子が好きだったのだ。この女の子がなんとデビュー前の浜崎あゆみで、めちゃくちゃ可愛い!この浜崎あゆみの演技を見るだけでも、この映画を見る価値あり!物語の中で、主人公のゲイの男の子と浜崎あゆみは最初仲が悪かったけれど、次第に打ち解け、自分がゲイという秘密も隠さなくなり、浜崎あゆみは一貫してゲイの男の子の片思いを応援してくれるところがすごく感動的!
映画の最後は夏の光あふれる美しい田舎で撮影されているんだけれど、この風景がとても幻想的で印象に残った。やっぱりあふれんばかりの夏の光の記憶って、人の心にどこか懐かしさや情緒や夢の中にいるような気配を残すんだなあと感じずにはいられなかった。
・「窮鼠はチーズの夢を見る」
比較的最近の映画で印象に残った作品はこれ!「窮鼠はチーズの夢を見る」の主人公はゲイの男の子で、大学時代からずっと好きだったノンケの先輩(既婚者)の不倫を知ってしまい、それをネタに先輩を脅し、キスしたり肉体関係を持つようになっていくが、最終的にはノンケの先輩もゲイの男の子に心惹かれるようになっていくという内容だった。
ぼくも大学時代に好きだったノンケの男の子とキスしたり性的な関係になったりしたので、この映画を見ているとそんな日々をリアルに思い出してしまった。ゲイがノンケを好きになる切なさやもどかしさや諦めや絶望感が繊細に描かれていて、ノンケに片思いするゲイが見るとその丁寧な心理描写に心奪われるだろう。ゲイとノンケの恋は、結局うまくいかない運命にあるという点もリアルだった。
・「君の名前でぼくを呼んで」
JALの機内で偶然暇つぶしに見て、涙が出てしまうほど感動してしまったのは「君の名前でぼくを呼んで」だった。この映画はとにかく光あふれる北イタリアの素朴な避暑地の風景が美しすぎる!イタリアに旅をしてこんな風景の中で過ごしてみたいと思ってしまうほどに魅力的な街並みや景色が続いていく。
「君の名前でぼくを呼んで」のあらすじは、大学教授を父に持つ17歳のエリオの家に24歳の大学院生のオリヴァーが助手としてアメリカからやって来て、夏の間だけ共に暮らしているうちにお互いに心惹かれて結ばれるという物語だった。物語の冒頭ではエリオには彼女がいるように見え、またオリヴァーの性的指向は不明だが結局はアメリカに帰って結婚してしまう。この物語の中ではエリオやオリヴァーが、ゲイなのかノンケなのかバイなのか、そのような性的な言葉上の定義など必要なく、ただただ人と人が次第に純粋に引かれ合っていくという描写になっていたのがとても詩的で美しかった。恋とは本来、このようにあるべきではないだろうか。
また物語としてはただのBL映画だと思いきや、映画の最後の場面でエリオとオリヴァーの性的な関係に気づいているエリオのお父さんが、オリヴァーがアメリカに帰ってしまって落ち込むエリオに説く言葉がなんとも意味深く哲学的で詩的だったので、ぼくはこのお父さんの言葉に感動して泣いてしまった。ぼくの中でこの映画がただ美しいだけでもなく、ただ性的なだけでもなく、意味深く詩的な印象を残しているのは、ひとえにこのお父さんの言葉が原因だろう。
この映画でも男と男の恋愛は結局終わってしまい、オリヴァーはアメリカで結婚してしまう。その知らせをイタリアで聞いて深く落ち込むエリオだったが、このような最後には結ばれないという切ない結末も、男と男の恋愛としてリアルだと感じる。
・大学時代のぼくの2番目の恋について
・同性愛について