ぼくが大好きな写真集を紹介するよ!!!!!
森栄喜さん写真集tokyo boy aloneは透明感あふれる東京の街並みと男性ヌードが織りなす名作
目次
・写真集「tokyo boy alone」の中の東京は、淡い水色のように透明感あふれる街並み
ぼくは写真集というものをほとんど持っていないし、持っていても見返すことがない場合がほとんどだが、森栄喜さんという方の写真集「tokyo boy alone」はとても好きで、買ってから何年経っても定期的に見たくなってしまう唯一の写真集だ。
森栄喜さんはゲイであることを公表している写真家で、「tokyo boy alone」の中には東京の街並みと、ありふれた部屋と、若い男性の肉体がランダムに織り込まれている。東京の街並みなんて普通なら殺風景でつまらなさそうに感じられてしまうが、「tokyo boy alone」の中に閉じ込められている東京は光が溢れていて、明るくて、繊細で、儚くて美しい。表紙も今にも消えそうな淡い水色でぼくの好きな色彩だ。この写真集の中の東京も表紙の儚い水色のように、幻想的で透明感溢れていて清らかだ。
・儚い東京の写真の中に浮かび上がる男の子の肉体は生々しい
そんな神秘的とも感じられる雰囲気の中に、服を着たり下着だったり何も着ていなかったりする男の子が混じり合うことで独特の化学反応を起こしている。男の子の服装は東京の街にいそうなシンプルで清潔感がある感じで写真集の中の東京に馴染んでいるが、その東京の人工的な透明感の中に急に服を着ていない男の子の写真が浮かび上がると、東京の街が無機質な雰囲気をまとっている分、余計に人間の肉体が野生的で生々しく感じられる。
東京という街がどんなに水色の儚さと透明感に満たされていようとも、そこに住んでいる男の子は人間である限り、必ず生々しくて動物的だ。東京の街とそこに住む人間というのは、最も遠い地点に位置しているのかもしれない。
・東京が綺麗な街だなんて幻想だ
そんな人間の肉体に呼応するように、写真集の中には清らかで透明な東京ばかりではなく、時々ちょっと野生的な匂いが漂ってきそうなリアルな生々しい東京の風景も出現する。その東京はそこはかとなく動物的な欲望をまとい、どことなく性的であり、生殖の快楽を示唆しているようにも見える。
東京という街が日本一の大都会である限り、そこが綺麗だということは本来ありえない。たくさんの人間と物質が無遠慮にひしめき合っているエリアだからこそ、日本の中で最も動物的であり、醜い欲望にまみれ、生々しいリアルな汚さを演出する場所のはずだ。どんなに透明感あふれる写真として綺麗に撮られても、本物の東京はもっと奥深い醜さと野生を秘めているのだろう。しかし表面的に美しく見えている透明感あふれる写真集の中の東京が、東京の側面のひとつであるということもまぎれもない事実なのだろう。
・儚さと、水色と、生々しさが共存する「tokyo boy alone」の唯一無二の美しさ
東京に住む男の子の肉体は野生的で生々しいけれど、東京の表面的な淡い水色の雰囲気が侵食して、肉体でさえ儚く美しく見える。東京の街の光や透明感も、男の子の裸体と野生的な欲望も、東京の生々しさや現実も、男の子の肉体の美しさと儚さも、何ひとつ境などなく共存しているからこそ「tokyo boy alone」は見応えがあって、何度見ても心に刻み込まれる何か美しいものを感じてしまう。
ぼくはこの「tokyo boy alone」を2012年にアマゾンで購入した。今となっては東京に何度も足を運ぶようになったが、この頃はほとんど東京に行ったことがなかったので、ぼくの中の東京のイメージは「tokyo boy alone」によって培われた。そのせいか東京を歩いていても、淡い水色の雰囲気のする美しくて綺麗な街だなぁと感じてしまう。そして今にも消えそうだなぁ、とも思う。
・同性愛について