ノンケの彼には、ぼくとの同性愛的体験を受け入れる覚悟と誠実さがなかった

 

彼は時々ぼくとの同性愛的体験を消し去ろうとし、そのたびにぼくは深く傷ついた。

ノンケの彼には、ぼくとの同性愛的体験を受け入れる覚悟と誠実さがなかった

・大学時代、ぼくは大好きなノンケの親友と恋人同士のような関係になった

大学時代、ぼくは同級生のノンケの男の子を好きになった。ぼくが好きな思いを我慢できずに告白すると、それ以来彼もぼくのことを「好き」だと言って抱きしめてくれるようになった。会うたびに好きだと強く抱きしめ合って、キスして、お互いの秘密の果実を触り合った。ぼくたちはお互いの部屋の合鍵を交換して、時間があれば逢瀬を重ねた。もはやぼくたちが、ただの友達や親友と呼ぶことができないことは、誰から見ても明らかだった。誰から見ても明らかだけれど、ぼくたちの秘密は、ただ2人だけのものだった。

両思いに!大好きなノンケの親友に告白したら毎日「好きだよ」と抱きしめてくれるようになった

大学時代、ノンケの彼とゲイのぼくは会うたびにキスするようになった

ゲイのぼくとノンケの彼は、お互いの部屋の合鍵を交換して恋人のように逢瀬を重ねた

ノンケの親友とゲイのぼくは、同じ果実を男同士で触り合って同じ快楽と幸福を感じた

 

・ノンケの彼にはぼくとの同性愛的営みを受け入れる覚悟と誠実さがなかった

これが同性愛ではないならば、何を同性愛的体験と呼ぶのかわからないほどに、ぼくたちは体と心を近づけ合った。けれど時々彼は我に帰ったかのように自分の同性愛的行為を記憶からかき消しながら、ぼくだけが同性愛的人間で自分はそうではない正常な人間だと、ぼくのことを突き放して距離を置いた。その時の彼の裏切りの眼差しはとても冷たかった。

確かに彼がノンケ(女を好きになる男)であることに間違いはなかった。彼の携帯の中には女の肉体の画像や動画で埋め尽くされていたし、家にはいくつもの男性用のエッチなDVDが隠して並べられていた。彼が男を好きになるという気配はどこにもなかった。ぼくもそれを最初からわかっていたから、彼がぼくのことを好きだと抱きしめてくれるようになったことはとても不思議だった。彼の中では、ただぼくだけが例外だった。きっとぼく以外の男と抱きしめ合ったり、キスをしたり、触り合ったりしないことだろう。それは願望ではなく冷静な視点から見た予測だった。彼はこれからの将来でも、ぼく以外の男と同性愛的行為を体験することはないだろう。彼の本能はただ、早く女の肉体を抱いてみたいという童貞卒業の願いに率直に突き進んでいた。彼の燃え盛る純粋な本能を、ぼくも、彼自身でさえも止めることはできなかった。

ノンケの彼はぼくを好きだと抱きしめながらも、女の肉体を探し求め続けた

彼が女の肉体を愛するノンケであることは事実でも、一方でぼくの肉体に発情しながら、同じ形をした果実を同じように触り合い、同じ幸福を感じ合っていることも紛れもない2人しか知らない事実だった。それなのにぼくだけを同性愛者と呼んで、自分だけ異性愛者の”まともな”世界に逃げ込もうとする彼のことをぼくはどうしても理解できなかった。ぼくたちが心から求め合っていたかけがえのない日々を、一方的に踏みにじられたような気がした。

 

 

・「お前はホモやからな」

彼の部屋に2人でいる時、その日は彼の態度が冷たかったからぼくは寂しくなって「もう嫌いになろうかなぁ」と彼につぶやいた。彼はぼくの目を見て「お前は俺のことを嫌いになれない。お前はホモやからな。俺のこと好きやし、愛してるもん」って自信満々に返された。

全部全部当たっているけれど「お前はホモやからな」っていう言葉には、自分はそうじゃないという明らかな思いが暗示されていて、突き放されたような気がして心が苦しくて隠れて泣いた。ぼくだって好きであなたを好きになったんじゃないと、自分の運命を見つめてひとり涙を流した。いつも2人で好きだと言って抱きしめ合っているのに、なぜかぼくだけが彼に好きだと言ってるみたいに彼は話してて、それが悔しくて切なかった。

 

・「変な意味やったら困るで」

別の日、いつもみたいに彼に「好き」と言って抱きしめると、彼もぼくの髪を撫でながら「好き」と返してくれた。ぼくは嬉しくなってもう一度強く抱きしめながら「好きだよ」とつぶやくと、彼は「お前好きって変な意味じゃないよな?変な意味やったら困るで」っていきなり冷たく言い放たれた。

ぼくは自分の中の純粋な「好き」っていう気持ちが、彼にちゃんと伝わっていると信じていた。何度も「好き」って言い合って、抱きしめ合って、ぼくの気持ちをきっと彼はもうわかってくれているはずだと当然期待していた。いつもはちゃんと理解してくれて好きという気持ちを分かち合えるのに、こんな風に彼は時々心が不安定になって、ぼくとの日々を否定してぼくを悲しがらせようとした。そして自分自身を同性愛的体験から遠ざけ、自らを異常な世界から守ろうとした。どんなに否定したって2人の秘密の日々は、決して消えないのに。

ぼくは2人の尊い時間に対して、彼の身勝手な保身のために、彼によって「変な」という形容動詞をつけられたことが許せなかった。好きの「変な」意味って何なんだろう。好きに異常なものと正常なものがあるのだろうか。あんなに交わし合った純粋で疑いようもない好きという言葉も、男同士だったから「変な」意味だと彼によって後から書き換えられてしまうのだろうか。ぼくはいくら大好きな彼でも、2人の尊い時間を後から無造作に穢そうとしたことを許せなかった。

 

・「本当に好きになったら、とりあえずヒく」

あんなにたくさん「好き」って言い合っていても、本当の気持ちが伝わらないのならばどうしたらいいのだろう。本当は彼にはもう十分ぼくの気持ちは伝わっているのに、彼だってそれに応えるようにぼくを抱きしめてくれていたのに、彼は知らないフリをしているだけだった。あんなに「好き」って言い合っても都合が悪くなると知らないフリをされるのならば、もうどうしたらいいのかわからなかった。「あなたを男性として好きです」とか「性的にあなたが好きです」とか、目を見てきちんと同性愛的発言をしなければいけないのだろうか。そんなことは全部これまでのぼくの「好き」に込められていて、彼だってそれを受け止めていたはずだった。

ある日ぼくは彼に「本当に好きになったらどうする?」って聞いてみた。彼は「とりあえずヒく」って答えて、また知らないフリをされた。「じゃあそれからは絶交?」と尋ねると「いや、絶交にはならない。その時のことはその時に考える」と言い放たれた。

そうやって冷たく突き放しては、彼はぼくの気持ちを不安定にさせた。彼の心が不安定になるのに共鳴して、ぼくの心の海も激しく揺れ動き波立った。ぼくに本気で好きになられたら困ると言い放ったその後で、彼はぼくにたくさん甘えてきた。そして2人はいつものように抱きしめ合って、キスして、お互いの秘密の果実を触り合った。言っていることとやっていることが完全に異なっていることに、彼は気がつかないままだった。ぼくが「変なこと言ったらもうぼくの触らせないよ?」と彼に意地悪で言ってみると「はぁ?男のなんかおぞましいし!」とノンケ的発言をした後に「やっぱりごめん!」と言ってまたぼくの果実を慈しんで触り続けた。

彼自身の行動は彼にさえ、きっとよくわかっていなかった。ノンケなのにぼくの男の肉体を抱きしめている自分のことすら受け止めきれていなかったし、言ってることとやってることが矛盾だらけなのも自分ではわからないままだった。ぼくはそんな彼の矛盾がとても愛しかったけれど、それよりももっと苦しかった。

彼はぼくに好きだと言わせたくて「俺のこと嫌いになった?」と何度も聞いてきた。そのたびにぼくは彼の望み通りに「大好き」と言い続けた。この好きの中にぼくの気持ちの全てが込められていることや、この好きが友達としてや冗談なんかじゃないことを、交わし合っていた2人が一番よくわかっていた。ぼくが彼に「本当に好きになったらどうする?」なんて、聞いてもいい理由なんてなかった。それに対して彼がどんな答えを返そうとも、本質は言葉ではなく言霊で通い合っていたから。

 

・「あれは精神不安的だった」

ぼくが尊いと感じていた2人の同性愛的体験を、彼は時として踏みにじった。「ゲイかよ!」「冗談だったから気にするな」「あれは精神不安的だった」と彼がぼくたちの日々を否定するたびに、ぼくは終わりなき悲しみを魂に注ぎ込まれ、ひとりきりで凍りつくような彼の言葉に耐えながら悲しみに打ちひしがれた。誰にも相談できなかったし、ぼくたちの関係はぼくたちだけの秘密だった。ぼくにとっては宝物のような尊い日々でさえ、彼にとっては彼を”異常者”にしてしまうような忌まわしい記憶だった。あの時代、彼はぼくの全てだった。2人のかけがえのない時間を「精神不安的」という言葉で無慈悲に片付けて逃げようとする彼を心から恨みながらも、大好きな彼からどうしても離れることができなかった。

自らの同性愛的経験を消してしまいたい彼は、ぼくに一度だけ「もう前みたいな(同性愛的)関係に戻ることはできない。お前がそういう(好きという)感情を持たないのなら前のように戻るけれど、もう触ったりすることはない」と告げた。ぼくは彼に絶対に叶わない切ない片思いをしていた時期から、運命のいたずらかそれとも必然的に、ここまでノンケの彼との関係を築き上げてきた過去の日々を思い出していた。これ以上にないほどに幸せだと感じたこともあったけれど、人生でこんなに悲しいと感じたことがないほど絶望に打ちひしがれた日々もあった。それでも必死に死なずにここまで生き抜いた。その歴史をすべて乗り越えてきたからこそ今があるのに、もう一度ただの親友という過去の状態に戻ることなんてできなかった。それは真実を一切伴わない偽りの関係だと感じたし、必死に生き抜いてきた自分に対する冒涜だとも感じた。

ぼくはただの親友に戻って偽りの関係を続けるくらいなら彼と一切縁を切ろうと思って、誕生日に彼にもらったキーホルダーとそれに付いている彼の部屋の合鍵を彼に返した。彼との時間は、これで終わりにしようと決めた。彼にもらったキーホルダーも彼の部屋の合鍵も、ぼくにとってはかえがえのない宝物だった。これはぼくの宝物だと、買ってもらったキーホルダーを彼に嬉しそうに見せた愚かな自分のことを思い出していた。止めようとしても溢れてくる涙を隠せないまま、ぼくは彼にキーホルダーと合鍵を渡した。

彼はそれを受け取らずに「これは水色のものなんやから。水色に持ってて欲しいと思ってるから渡してるんやで」とぼくに返した。そして泣いているぼくの頭を優しく撫でて抱きしめてくれた。ぼくは彼の腕の中で泣きながら「前みたいに戻ってくれる?」と尋ねた。彼は優しく「戻るよ」とつぶやいた。男は涙を見せれば正気を取り戻すということを、ぼくはその時に彼から学んだ。

 

 

・遺伝子に埋め込まれた本能と魂の共鳴

数々の絶望的な言葉をぼくに投げつけながらも、彼にとって不安定な時期が過ぎて仲直りすると、また元の同性愛的関係に戻って何もなかったかのように愛し合った。ぼくたちは離れてはまた抱きしめ合うことを何度も繰り返した。ぼくたちの魂が求め合っていることは明白だった。ノンケの彼にとって求めるはずのないぼくの肉体を、彼は何度も抱きしめて触った。もしも彼が女の肉体を求めたならば、それは当たり前の現象だと納得されるだろう。彼の本能は他の男の子と同様に元からそのように設計され、彼の肉体も彼の精神も、女の肉体に液体を注ぎ込む準備を常に整えていた。それなのに彼が求めるはずのないぼくの肉体を求めていることを、ぼくは運命的で稀有な超越だと感じた。ぼくたちは遺伝子に埋め込まれた本能ではなく、その果てにある魂の次元で共鳴し合い求め合っていることを確かに知っていた。

超越の愛

水色の生殖器

遺伝子に埋め込まれた本能か魂の共鳴、人間にとってはどちらが大切なのだろう。男はいつも肉体を求めていた。肉体のあたたかさに包まれながらも、そのまま異なる肉体を犯し、自らの液体を体内に注ぎ込み、力づくでも生命を誕生させる本能的な力強さと積極性を保っていた。女はいつも精神を求めていた。人間は肉体までしか触れられないことを知りつつも、肉体を突き動かしている根底の精神へと夢の中で到達し、精神と精神が触れ合い擦り合わせることに快楽を感じていた。

男と女は異なるものを追求していた。彼は天から男の感性を享受し、ぼくは天から女の感性を享受していた。ぼくが見ている魂の共鳴の風景を眺める一歩手前で、彼は野性的な本能の荒野をさまよっていた。それが男の感性を伴う彼の使命であり、役割だった。ぼくたちの同性愛的体験の正体としての魂の風景を、彼は男として眺めることがなく、自分が何に突き動かされているかもわからないままで、ぼくと求め合うことをやめなかった。それゆえに彼は、ぼくとの同性愛的営みを受け入れる覚悟と誠実さを持てなかった。濃厚に燃え盛る野性の荒野へは、その尊い魂の風景と光が届かなかった。彼はその尊い光の気配を確かにぼくと共に知りながらも、得体の知れない光など退けてしまいたいと恐れをなして逃げ出そうともがいていた。けれどぼくたちが確かに求め合う常識を超越したその力を、彼も感じないわけにはいかなかった。ぼくたちはその力に導かれ、どんなに離れようともがいても結局また同じ部屋で抱き合っていた。

 

 

・大学時代の2番目の恋について

大学時代、ぼくは片思いしているノンケの友達に膝枕されるのが好きだった

大学時代、片思いしているノンケの親友の幸せはぼくの地獄となることを知った

両思いに!大好きなノンケの親友に告白したら毎日「好きだよ」と抱きしめてくれるようになった

大学時代、ノンケの彼とゲイのぼくは会うたびにキスするようになった

ノンケの親友と愛し合いながら、彼は同性愛と異性愛の狭間で不安定にもがき苦しんでいた

ノンケの彼とゲイのぼくは、どんなに好きだと抱きしめ合っても恋人同士にはなれなかった

ゲイのぼくとノンケの彼は、お互いの部屋の合鍵を交換して恋人のように逢瀬を重ねた

ノンケの親友とゲイのぼくは、同じ果実を男同士で触り合って同じ快楽と幸福を感じた

大学時代ノンケへの片思いを通して、ゲイのぼくは叶うはずがない運命の恋でさえ叶う瞬間があることを知った

ノンケの彼はぼくを好きだと抱きしめながらも、女の肉体を探し求め続けた

 

・ぼくの高校時代の初恋について

ぼくが同性愛者(ゲイ)だと気付いたきっかけは高校2年生の初恋だった

ゲイからノンケへの初恋は誰にも言えない分、純度の高い宝石となって残る

ゲイがノンケに告白したら2人の関係性はどうなるのか、実体験をもとに考察

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・同性愛について

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