水色の生殖器

 

 

男ではない人がいる
女ではない人がいる
男でも女でもない人がいる
あの人はいったい誰なの

男であると語る人がいる
女であると語る人がいる
男でも女でもあると語る人がいる
けれど本当はあなたは誰なの

男が好きだとむさぼる人がいる
女が好きだとむさぼる人がいる
男と女が好きだとむさぼる人がいる
だけどあなたの魂はなにをむさぼる

男が嫌いだと退ける人がいる
女が嫌いだと退ける人がいる
男も女も嫌いだと退ける人がいる
そして誰もが愛されたいと泣いている

生殖器だけで分け隔てられた生命
性欲だけで分類される幻想
心が放つ性の予感に戸惑う人々
何もかもが間違ったものたち

生殖器はあらゆる生命の根源
人を説明したり比べたりしない
ただ高く天を貫いて
快楽と共に青い液体を解き放つだけ

生殖器がもたらす高ぶりと熱量は
ぼくたちの生命が絶対的であることの証
決して相対の海へと沈み込まない
安らかなゆるしを約束されている

あなたがもしも揺れ動く不確かな世界で
もがきながら苦しみ息もできないというのなら
生殖器へと帰り着きなさい
根の国へと船を漕ぎ出しなさい

原始の海から押し寄せる快楽の波
あらゆる国の人々が等しくまき散らす液体が
あなたをひとつの岸辺へ導いてゆく
永遠に光を注がれる大河の中の島

 

 

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