奪うのならばなぜ与えたのですか
虚空に向かって少年は問いかける
幸せにはなれないと泣いていた少年に
さらなる絶望と孤独が注ぎ込まれた
希望も夢も美しい未来すら持たずに
心を閉しながら生きていた少年に
神様は唯一の光を与えた後で
それをことごとく奪い去った
最初から幸せにはなれないと
泣きながらも必死で生きていたのに
容赦なく絶望と孤独は追加され
水色の少年の心は息もできずに死んだ
生まれてきてよかったと言いたかった
生きてきてよかったと感じたかった
生きていてもいいんだよといつの日にか
自分自身を思い切り抱きしめてやりたかった
あなたに出会うことでぼくの心は殺されてしまった
これ以上奪われないほどに何もかもを喪失してしまった
たったひとつ掌に残されたものは
意味もないあたたかさを宿す手袋だった