医者になって誰かの命を救うよりも、まず自分の魂が救われることをぼくは願った

 

医学はぼくの魂を救う方法を、何ひとつ教えてはくれなかった。

医者になって誰かの命を救うよりも、まず自分の魂が救われることをぼくは願った

・大学時代のノンケとの恋愛

医者になるために、ぼくは大学の医学部医学科に入った。大学生活の中で、ぼくは同級生の男の子に恋をした。彼は女の子を好きなどこにでもいるノンケの男の子だったので、ぼくの恋は片思いで終わるに決まっていたけれど、不思議なことに彼もぼくのことを好きだと言ってくれた。ぼくたちは合鍵を交換し合い、毎日お互いの部屋を行き来しては、好きだと抱きしめ合い、キスをして、お互いの敏感な果実を触り合った。けれどノンケの彼の本能が女の肉体を求めるという強い衝動を誰も抑えることができずに、彼はやがてぼくに嘘をついて女の肉体へと立ち去ってしまった。

両思いに!大好きなノンケの親友に告白したら毎日「好きだよ」と抱きしめてくれるようになった

大学時代、ノンケの彼とゲイのぼくは会うたびにキスするようになった

ノンケの親友とゲイのぼくは、同じ果実を男同士で触り合って同じ快楽と幸福を感じた

ノンケの親友に失恋!ノンケの彼はゲイのぼくを裏切って彼女を作った

ノンケの彼の鞄からコンドームが出て来たけれど、ぼくは悲しみも絶望も何も感じなくなった

「自分だけ幸せになりたかった」とノンケの彼は告白し、それ以来ぼくは彼の部屋を訪れることはなかった

奇跡のように愛し合えた彼がいなければどうやって幸せになればいいのかわからなかったぼくは、彼の裏切りに絶望し、魂が引き裂かれたような思いがした。

 

 

・医者になるための医学部の勉強は、授業と実習とレポートと試験だらけだった

恋だけしていればいいのならもっと気楽なものだったのかもしれないが、ぼくには医学の勉強もあった。大学の医学部は忙しく、他の学部とは違い朝から晩までずっと医学の授業が詰め込まれ、毎日が授業と、実習と、レポートと、試験の連続だった。医学部では試験をひとつでも落とすと留年になってしまうので、数多くある試験を全て合格し続けなければならなかった。医学において勉強すること、記憶する内容の量は膨大で、本当は人を好きになることなんかにかまけている時間なんてなかった。けれどぼくは男を好きになる男として生まれついて、日常生活の中で自然と恋が叶うことのない運命を背負って、どのように幸せになればいいのかわからなかったから、彼がぼくに好きだと告げてくれたことをあまりに尊く感じすぎてしまった。ぼくは彼なしだと生きられないと思った。

ノンケの彼との恋愛がつらく苦しすぎて、ぼくは通常の学生生活が営めなくなっていった

ぼくは彼のことで嘆き、悲しみ、ご飯すら食べられなくなったこともあったけれど、それでも医学の試験は次から次へとやって来るので、心が何も感じなくてもいいように、まるで死んだように生きていくしかなかった。恋は小さな恵みであったと同時に、ぼくにとって巨大な呪いでもあった。ノンケに恋をしながら膨大な量の医学の勉強をこなすのは、並大抵の努力では足りることはなかった。心を無にして、必死に這いつくばるような虚ろな日々を過ごしていた。こんなに頑張って医者になったとしても、彼と一緒にいられない未来なら幸せになれるはずがないのに、どうせ幸せになれない人生なのにどうしてこんなに必死にならなければならないのだろうと全てが虚しく感じられた。それでもなぜか、決して投げ出すことはなかった。

 

 

・ノンケの彼とも一緒に勉強し、彼の性的な矛盾に苦しんだ

彼も同じ医学生だったので一緒に勉強することも多かった。2人きりで勉強した後には、よく同じベッドで抱きしめ合いながら眠った。夜中まで勉強をして、明日は試験だから早く寝たいのに、彼は嬉しそうにぼくの肉体を襲ってきた。彼に抱きしめられて大きく熱くなったぼくの果実を、彼は闇の中でいつまでもいつまでも触り続けていた。先端が濡れていることや、敏感に鼓動していることや、腰が自然と動いていることや、ぼくが感じていることをからかいながら満足そうにぼくを眺めていた。お返しに彼のを握り返すと、彼の果実もすっかりぼくと同じようになっていた。

ノンケは男の体に興味を持ったり発情しないというのは本当か?

それでもノンケの彼の本能はいつでも激しく女の肉体を求めていた。求めるはずのないぼくの肉体に明らかに発情しながらもそれと同時に、他の男子大学生の誰もがそうであるように、ぼくとは異なる女の肉体のことばかりを妄想しては発情していた。人の性とは実に不可解で、分別のつかない深遠なものだと感じた。

 

 

・医者になって誰かの命を救うよりも、まず自分の魂が救われることをぼくは願った

ぼくは彼との恋に思い悩み、苦しく虚ろな日々を過ごしながらも、なんとか本来の6年間で医学部を卒業することができた。彼の方はズルズルと留年を繰り返し、もはやどうなっているのかわからないくらい遠くの学年へと下がって見えなくなってしまった。ぼくは彼と同じ教室で会わなくてよかった分、心がかき乱されることもなくなり少しだけ気持ちが楽になっていった。けれど彼に裏切られたことによって根源から根こそぎ生命を否定されるような悲しみ、魂を引き裂かれたような苦しみは決してなくなることはなかった。ぼくは彼と別れたことによって、まるで自分は本当は生きてはいない感覚に陥った。肉体は確かに生き続けているけれど、魂が殺されたので、まるで死んだように生きているような感覚だった。

大学の留年を機に、ゲイのぼくとノンケの彼は少しずつ離れていった

同性愛者として生まれた水色の少年は、この人生で幸せにはなれないのだと悲しい覚悟をした

ぼくはただ、男を好きになる男であるという運命、そしてそれによって魂を引き裂かれるような経験をした自分が、一体どのようにすれば救われるのか、無意識にそればかりを考えていた。ぼくはぼくを救ってやらなきゃいけない。ぼくの魂を救済してやれるのはぼくだけだ。ぼくはまず、ぼくの魂を救い出してやらなければならなかった。全ての人生はそこからしか始まらないと感じた。魂が死んだままであるのに、人生など始められるだろうか。人間は魂が健全に生きているという大前提にのっとって、まさにそれを土台として、その上に様々な人生の経験や喜びや悲しみを積み重ねていくものだと感じた。魂が滅ぼされているのに、土台が壊れているのに、その上に何を乗せたって無意味だと感じた。0に何をかけても0にしかならないのだ。

ぼくは彼と自らの運命によって魂を滅ぼされながらも、必死に医学の勉強を続けた。けれど医学の勉強になんの魅力も素晴らしさも感じなかった。そこにはぼくの魂を救済する方法が、何ひとつ書かれていなかったからだ。医学の教科書にはぼくの知らない誰かがかかった見たことも聞いたこともない病気の症状や特徴が羅列され、どうすればその病気を治療し患者を治して幸せにできるかが克明に記されていた。医学生はただ、見知らぬ病気の全てについての暗記をひたすらに続けることを求められていた。

けれどぼくは、どこかの誰かの見たことも聞いたこともない病気の治し方よりもまず最初に、ぼくの魂を救い出す方法をちゃんと書いてくれよと願った。そこからしかぼくの医学は始まらないのだ。ぼくの魂が健全に救われた状態でいるときになってはじめて、他人の病気や魂の苦しみを救えるのようになるのではないだろうか。自分の魂が死んだままで必死にもがいているのに、他人を苦しみから救い出したいなんて願えないし、他人が幸せになってほしいと祈ることさえできない。そんなことは何の運命も背負わされていない余裕のあるのんき者が暇つぶしにやることだ。自分が生きているのか死んでいるのかもわからないような状態で、他人を病や死から救いだせるとは到底思えなかった。医学を暗記し、ただ手技を覚え、他人の病気を器用に治すことならもちろんできるだろう。しかしそれは自分の魂の救済という土台を持たない、宙に浮かんだ偽物の治療だと感じた。

医学はぼくを決して救ってはくれなかった。医学の教科書の隅から隅まで読んでも、男を好きになる男であるというぼくの運命にどのように立ち向かっていけばいいのかという情報も何ひとつ記載されていなかったし、日常生活の中で好きになった人と心から愛し合えたのに本能によって縁が引き裂かれ魂が死んでしまった場合にはどのように治療したらいいかを、医学知識は何ひとつぼくに教えてくれなかった。医学なんて無知だと思ったし、無力だと思った。それはただ、世渡りを伝えているに過ぎなかった。こんな症状の人が来たらこれらの病気が考えられて、この病気だと確定したならばこの治療をすれば治すことができるという、医者に都合のいい手段を教えているだけだった。人間にとって生きていくこととは何か、どうせ死ぬのになぜ生きていくのか、死ぬとは人間の魂にとってどういうことなのか、生命の本質とは何かを、医学は決して教えてはいなかった。

医学を勉強することは当然のように、医学生にとって常に正しい行為だった。神に仕える者が聖書を読むように、仏を信仰する者がお経を唱えるように、医学生が医学を学ぶことは有無を言わさずふさわしい行いだった。医学生にとって、医学を必死に勉強すればこれから先いいことがたくさん起こることはわかりきっていた。素直に医者になり、多くの人を病や死から助け、お給料もいっぱいもらい、社会的にも尊敬されて、そんな安定した素敵な日々が訪れることは常識だった。医学はいつも医学生の上に偉そうに君臨していた。にも関わらず、医学はぼくの魂がどうすれば救われるのかを全く教えてくれなかった。医学はたくさんの人の命を救うと言われているのに、なぜぼくの魂ひとつすら導いてくれないのだろう。

ぼくには、ぼくの魂を救い出さなければならないという使命があった。ぼくの魂を救う方法を示さないものなど、どんなに世の中で偉そうにふんぞり返っていてもぼくにとっては全くの無用だった。ぼくは自らの魂を救い出す道に出会わなければならない。それこそがぼくの生まれてきた意味であり、ぼくの生きていく燃えるような理由だった。ただ人を愛しただけで神に殺されたこの哀れな魂に、たった一瞬でも生まれてきてよかったと思わせてやりたい。人生は短く、ぼくの魂を救い出す道へと導いてくれそうにもない無用な学問に本当は構っている暇なんてなかった。医者になって金を稼ぐ世渡りの方法を伝える学問に時間をかけるよりも、ぼくは生命の本質と秘密を見出し、男を好きになる男として生まれついた意味をさがし求め、人を愛することでなぜ魂を殺されなければならなかったのか、そしてどうすれば魂を再生できるかを、人生全体をかけて必死に追い求めなければならなかった。労働も、金を稼ぐことも、世渡りも、心の底からどうでもいいことだった。

ぼくには自らの魂を救済する使命があり、労働という下らないまやかしに巻き込まれている暇はない

失恋の悲しみを救うのは他人ではなく自分!自らの根源から訪れる苦しみは、自分自身によってしか浄化されない

ぼくは医学の課題や試験があるから医学を6年間必死にやっていたが、すっかり医学に興味を失くしていた。それよりもぼくの魂を救い出すための知恵は世界のどこにあるのだろうと、そればかりを考えていた。医学を習得し、人々を救うのは、まず自らの魂が救われてからだと直感していた。仏教や、聖書や、他人の創造物の中に救いの手がかりはないかと眺めて歩いた。けれど結局、自分の魂を救えるのは、自分自身しかいないという考えに行き着く。

 

・大学時代のぼくの2番目の恋について

大学時代、ぼくは片思いしているノンケの友達に膝枕されるのが好きだった

大学時代、片思いしているノンケの親友の幸せはぼくの地獄となることを知った

両思いに!大好きなノンケの親友に告白したら毎日「好きだよ」と抱きしめてくれるようになった

大学時代、ノンケの彼とゲイのぼくは会うたびにキスするようになった

ノンケの親友と愛し合いながら、彼は同性愛と異性愛の狭間で不安定にもがき苦しんでいた

ノンケの彼とゲイのぼくは、どんなに好きだと抱きしめ合っても恋人同士にはなれなかった

ゲイのぼくとノンケの彼は、お互いの部屋の合鍵を交換して恋人のように逢瀬を重ねた

言われるはずのない同性愛の人生の中で、ノンケの彼はゲイのぼくに「愛してる」と告げた

ノンケの親友とゲイのぼくは、同じ果実を男同士で触り合って同じ快楽と幸福を感じた

大学時代ノンケへの片思いを通して、ゲイのぼくは叶うはずがない運命の恋でさえ叶う瞬間があることを知った

ノンケの彼はぼくを好きだと抱きしめながらも、女の肉体を探し求め続けた

ノンケの彼には、ぼくとの同性愛的体験を受け入れる覚悟と誠実さがなかった

ノンケの彼との恋愛がつらく苦しすぎて、ぼくは通常の学生生活が営めなくなっていった

大学の留年を機に、ゲイのぼくとノンケの彼は少しずつ離れていった

ノンケの親友に失恋!ノンケの彼はゲイのぼくを裏切って彼女を作った

ノンケの彼と別れて、彼の部屋の明かりを見るだけでぼくの心は泣いていた

別れたくても別れられない…大好きなノンケの彼に呼ばれると、ぼくはすぐに彼の元へ舞い戻った

裏切られ続けたぼくは狂人となって、彼女と過ごすノンケの彼の部屋を訪ねることさえ恐れなかった

同性愛者として生まれた水色の少年は、この人生で幸せにはなれないのだと悲しい覚悟をした

ぼくを裏切って終わりなき悲しみを注ぎ込んだのに、ノンケの彼は自分の方が孤独だと言ってうなだれた

ノンケの彼の鞄からコンドームが出て来たけれど、ぼくは悲しみも絶望も何も感じなくなった

「自分だけ幸せになりたかった」とノンケの彼は告白し、それ以来ぼくは彼の部屋を訪れることはなかった

ノンケの彼がゲイのぼくと恋愛しても何ひとつメリットなんてないから、彼の「好き」という言葉を尊いと感じた

 

 

 

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