人生を孤独に生き抜くことを決意した人が聞きたい中島みゆきの孤独に関する歌10選

 

人生を孤独に生き抜くことを決意した人が聞きたい中島みゆきの孤独に関する歌10選

・人間は究極的には孤独である

人はお互いに助け合いながら生きていく社会的動物である。それゆえにひとりになることをひどく恐れ、自分の望まない形であっても他人から見放されないように我慢をし、協調し、空気を読み、なんとか必死に人間社会で生き残ろうと努力する。

しかし一方で人間は究極的には孤独だと受け入れなければならない時が、誰にも訪れることだろう。ぼくたちはひとりで生まれてひとりで死んでいくのだから、結局は人生をひとりで生きているということに他ならない。たとえ都合のいい生殖相手が見つかったからと言って運よくつがいになり、結婚式で「永遠の愛」を誓い合ったとしても、その愛が永遠になることは絶対にない。

なぜなら人間同士の縁は「死」によって必ず断ち切られるようにできているからだ。「死」という誰にでも訪れる最もありふれた現象によってぼくたちはあらゆる人と別れる運命にある。ということはどんなに愛を誓ったからと言ってその愛はこの一生限りということだ。人間の一生なんて一瞬で過ぎ去るものである。たかが”この一生限定”の愛を、果たして永遠の愛などと呼べるだろうか。この一生の中でしか一緒にはいられないのに、その愛を永遠と名付けるとはかなりの傲慢ではないだろうか。

ぼくたちはこの一生で、さまざまな出会いと別れを繰り返す。仕方のない場合もあれば、思いがけない場合もあり、どうしようもない運命に絡め取られた縁もあるだろう。しかし永遠に伴う魂の同士を見出すのは難しい。結局は他人を拠り所としては生きられないのだと、最終的には自分自身しか頼りにできないのだと、さまざまな出会いと別れの後でやがて人は孤独の悟りを得るのだろう。しかし究極的には人間は孤独だと受け入れることは誰もがつらい。ここでは孤独に人生を歩むことを決意した人や孤独に生きるしかないのかと迷っている人が聞きたい、中島みゆきの孤独に関する歌を10曲紹介しよう。

 

 

・孤独の肖像

悲しみはあなたを失くしたことじゃなく
もう二度と誰も信じられなくなることよ

どうせみんなひとりぽっち
海の底にいるみたい
だから誰かどうぞ上手な嘘をついて

いつもぼくがそばにいると
夢のようにささやいて
それで私 たぶん少しだけ眠れる

 

(この記事は著作権法第32条1項に則った適法な歌詞の引用をしていることを確認済みです。)

人を信じることが苦手な者や、人を信じてはならないと怯えて生きている者が、やっと心許せる人に出会えた場合、その別れはより一層つらいものとなって彼の心を引き裂くだろう。誰かと別れるということが、この世の誰もが信じられなくなるということを意味しているなら、これほどつらいことはない。どうせ最初から誰も信じられなかったのだから、そのまま誰も信じずに一生を終えれば安らかな心を保てたものを、初めて誰かを信じてしまったことにより、誰も信じられなかった時代よりも、より一層孤独に陥ってしまうところが人間の運命の不条理なところだ。なぜぼくたちは誰も信じられないのに、誰かを信じたいと願ってしまい、やがて人を信じ、そして信じた人を最後には奪い取られてしまうのだろう。結局は奪い取られ絶望するのに、なぜ与えられ、一瞬でも幸福を感じさせられるのだろう。

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・孤独の肖像 1st.

愛なんてどこにもないと思えば気楽
最初からないものはつかまえられないわ

「孤独の肖像 1st.」は上記に紹介した「孤独の肖像」の原曲。最初は「孤独の肖像 1st.」が完成していたが、当時の音域のことを考慮して一旦はロックヴァージョンの「孤独の肖像」を発売し、ボイストレーニングを重ねて音域が広がった後でバラード調の「孤独の肖像 1st.」を収録したという。歌詞はほぼ同じだが別の曲かと間違ってしまうほどに雰囲気の異なる2曲。「孤独の肖像」は激しい心の切実さが荒々しく、「孤独の肖像 1st.」は孤独な心情の深淵が壮大且つ繊細に表現されている。

最初からこの世に愛なんてないのだと、究極的な諦めから人生を再開させることは、ことごとく傷ついた自分を立ち直らせるためにかろうじて行われる心の対策なのかもしれない。

 

・1人で生まれてきたのだから

人が1人で生まれてくることは
1人きりで生きていくためなのよ
1人で生まれてきたのだから
1人でいるのが当たり前なのよ

歌詞だけだとあまりに救いようのない印象を受けるが、意外と明るく軽やかに歌われているのが特徴。しかし暗く悲しげに歌われるよりも、明るく軽やかに歌われた方がむしろ諦めの孤独感をより一層引き立たせているようで味わい深いのかもしれれない。「1人でいるのが当たり前なのよ」という歌詞を胸に刻みつけて生きていれば、たとえどんなに孤独になっても少し絶望がやわらぐという効果もあるだろうか。

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・ひとり上手

ひとり上手と呼ばないで
心だけ連れていかないで
私を置いていかないで
ひとりが好きなわけじゃないのよ

80年代の中島みゆきのヒット曲。自身のオールナイトニッポンのコーナー「ひとり上手」でも毎回かかっていたので知名度が高いと予想される一曲。歌詞は悲しく切なげだがオールナイトニッポンの影響でむしろお笑いの曲だと感じてしまう人も多いのではないだろうか。クレヨンしんちゃんの映画「電撃!ブタのヒヅメ大作戦」では、いつまでも彼氏ができないまつざか先生が嗚咽しながらカラオケで歌っていたのが印象的だ。夜会「邯鄲」では、まるで素人女性がカラオケで歌っているかのように明るく元気に歌い上げられていた。やはりこの歌はお笑い的な様子が強いのかもしれない。

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・たかが愛

あぁこの果てない空の下で
ひとりでもさみしくない人がいるだろうか

「愛」というものの重要性が強調される風潮が強いこの世の中において、「愛」という言葉に「たかが」という一見見下したような連体詞をつける中島みゆきの歌詞にはっとさせられる一曲。しかし歌詞の内容は、たかが愛であろうとぼくたち人間はそれを捨てられないという観点から、逆に愛の大切さや愛との断ちがたい共存が歌われている。ぼくたちは孤独に生きていこうと覚悟を決めたとしても、やはり人と関わることによって心優しくなれる瞬間に出くわすだろう。むしろ孤独に歩もうと諦めてしまったからこそ余計に、人の心の温かさや情の深さに敏感に反応できるものなのかもしれない。

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・ローリング

Rollin’ age さみしさを
Rollin’ age 人に言うな
軽く軽く傷ついてゆけ

孤独に生きていく心情を表現するとしたら、それは「悲しい」でも「切ない」でもなく「さみしい」が一番しっくり来るだろう。孤独に生きていくと決めた人は、時にさみしさに襲われる。しかしそれは孤独に生きると自ら覚悟しなければ出会えなかった感情かもしれない。自分を押し殺し、空気を読み、人間の群れの中で強調しながら生きることを選んだならば、心に違和感を覚えつつもさみしさはやわらぐものだろう。しかし自らの直感に従い、もしくは自らの運命に苛まれ、孤独な道を歩んでいくと決めたならば、その「さみしさ」にさえ尊い価値があるのかもしれない。

さみしさを人に話せば、少し心が軽くなり、ひととき安らかな気持ちを得られるだろう。しかし中島みゆきは「ローリング」の中で、さみしさを人に言うなと強調して歌う。さみしさを誰にも語ることなく、他人に甘えて自分をごまかすことなく、自分の中で大切に守り抜くからこそ見出せる、さみしさの恵みというものもあるのだろう。さみしさというものは他人に話すことによってかき消すための感情ではなく、誰にも話さず自分の中で蓄積させ、濃縮させ、深く対峙し、自らの手によって根源から解決させるための課題なのだろう。そしてその解決の先には、他人の痛みがわかる豊かな情緒が育まれているのかもしれない。

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・ララバイSINGER

歌ってもらえるあてがなければ
人は自ら歌人(うたびと)になる
どんなに強い雨の中でも
自分の声は聞こえるからね

ひどい雨の中においては、他人の声など響きはしない。嵐の荒れ狂うような激しい人生の中において、他人の声など頼りにはできない。ぼくたちが自らの運命という激しい嵐の中で必死に孤独で生き延びている時、ぼくたち自身の心を慰めることができるもの、悲しい傷を癒すことができるもの、滅ぼされた精神を救うことができるものはただひとつ、自分の歌声だけかもしれない。

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・肩に降る雨

肩に降る雨の冷たさは
生きろと叫ぶ誰かの声

肩に降る雨の冷たさは
生きたいと迷う自分の声

肩に降る雨の冷たさに
気づかぬまま歩き続けてた

肩に降る雨の冷たさに
まだ生きてた自分を 見つけた

曲全体にわたって冷たい孤独感とさみしさが漂っている一曲。「あの人なしでは1秒でも生きてはいけないと思ってた」という歌詞からも、その絶望感と虚無感と生きる意志の喪失が感じ取れる。しかし救いがない曲だというわけではなく、むしろ全体にわたって冷たい孤独感が満たされているからこそ「生きろと叫ぶ誰かの声」「行きたいと迷う自分の声」「まだ生きてた自分を見つけた」というかろうじて存在しているかすかな希望が、より大きな希望として相対的に感じられて心に染みる名曲。

 

・砂の船

望むものは何ひとつない
さがす人も誰ひとりない
望むほどに消える夢です
さがすほどに消える愛です

月は波に揺れて 幾百 幾千
古い熱い夢の数だけ
今誰もいない夜の海を 砂の船がゆく

崩れてしまうという運命を背負いながらも、暗い夜の海をただひとりわたっていく砂の船の上の孤独感が迫ってくるような一曲。9枚目のオリジナルアルバム「寒水魚」に収録されているオリジナルバージョンも消えてしまいそうに儚くて味わい深いが、後に夜会「金環蝕」で歌われた「砂の船」は、アレンジも壮大で中島みゆきの声量も迫力があって聞き応えがある。

 

・旅人よ我に帰れ

優しすぎる弱虫は
孤独だけを選び取る
真実の灯をかざして
帰り道を照らそう

我に帰れ 旅人よ帰れ
我に帰れ この胸に帰れ

間違った深い孤独の中で魂が迷ってしまった時に、真実の光を頼りに救済へと導いてくれる一曲。夜会「2/2」のクライマックスで歌われるカタルシスの名曲。夜会「2/2」での歌唱も大迫力で感動的で素晴らしいが、「夜会工場vol.2」の最後に歌われる「旅人よ我に帰れ」は光に包まれた中島みゆきの白いアオザイ姿がとても美しいので必見!徹底的な孤独の先には救済の光が待っていることが示唆されていて、孤独を生き抜いている魂たちが勇気づけられる一曲。

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