ここにいるよ 愛はまだ
中島みゆきベストアルバム「ここにいるよ」の楽曲が収録されている全てのオリジナルアルバムとライヴ作品を徹底解説するよ!
目次
- ・中島みゆきの完全に近いベストアルバム「ここにいるよ」がついに発売!
- ・中島みゆき「ここにいるよ」収録曲一覧
- 01. 空と君のあいだに(94年「LOVE OR NOTHING」収録)
- 02. 旅人のうた(96年「パラダイス・カフェ」収録)
- 03. 宙船(06年「ララバイSINGER」収録)
- 04. 糸(92年「EAST ASIA」収録)
- 05. ファイト!(83年「予感」収録)
- 06. ひまわり“SUNWARD”(94年「LOVE OR NOTHING」収録)
- 07. 瞬きもせず(オリジナルアルバム収録なし)
- 08. 泣いてもいいんだよ(オリジナルアルバム収録なし)
- 09. 負けんもんね(10年「真夜中の動物園」収録)
- 10. 時代(76年「私の声が聞こえますか」、93年「時代 -Time goes around-」収録)
- 11. ホームにて(77年「あ・り・が・と・う」収録)
- 12. 空がある限り(17年「組曲」収録)
- 13. 地上の星(00年「短篇集」収録)
- 01. アザミ嬢のララバイ(76年「私の声が聞こえますか」収録)
- 02. 泣きたい夜に(80年「生きていてもいいですか」収録)
- 03. 愛だけを残せ(remix)(10年「真夜中の動物園」収録)
- 04. 悪女(82年「寒水魚」収録)
- 05. あした(90年「夜を往け」収録)
- 06. タクシードライバー(79年「親愛なる者へ」収録)
- 07. with(90年「夜を往け」収録)
- 08. 最後の女神(オリジナルアルバム収録なし)
- 09. 慕情(17年「相聞」収録)
- 10. 帰省(00年「短篇集」収録)
- 11. たかが愛(96年「パラダイス・カフェ」収録)
- 12. 風の笛(12年「常夜灯」収録)
- 13. 誕生(92年「EAST ASIA」収録)
- 番外編「Nobody Is Right」(07年「I Love You,答えてくれ」)
・中島みゆきの完全に近いベストアルバム「ここにいるよ」がついに発売!
中島みゆきの最新ベストアルバム「ここにいるよ」がめでたく発売された。中島みゆきは名曲が数えきれないほどたくさんあるのに、ちゃんと全ての名曲が出揃った完璧なベストアルバムがなかったので、ライトファンのための適当な中島みゆき入門作品がなかったのがもったいないと感じていたが、今回の「ここにいるよ」はそれに最も近い作品ではないだろうか。
それでももちろん全ての名曲が入っているわけではないので、ベストアルバム「ここにいるよ」を聞いて中島みゆきっていいな、もっとたくさん聞きたいなと感じた人のために、それぞれの楽曲が中島みゆきのどのオリジナルアルバムに入っているのかをここでは全て明記したいと思う。それを参考に、今度は「ここにいるよ」の中の自分のお気に入り楽曲が入ったオリジナルアルバムを聞いてみて、人々がもっと中島みゆきの世界を深く知る手助けになれれば幸いである。ではどうぞ!
・中島みゆき「ここにいるよ」収録曲一覧
DISC-1 エール
01. 空と君のあいだに |
DISC-2 寄り添い盤
01. アザミ嬢のララバイ |
初回限定盤のみに「Nobody Is Right」のライヴ映像が収録!
01. 空と君のあいだに(94年「LOVE OR NOTHING」収録)
オリジナルアルバム「LOVE OR NOTHING」に入っている「空と君のあいだに」は、シングルとは完全に異なるアルバムヴァージョン!シングルバージョンはまさにドラマ主題歌といった感じのキャッチーでテンポよい明るい感じに仕上がっているが、アルバムヴァージョンはバラード調で、上品で、高級感のあるイメージ!「空と君のあいだに」はシングルが大ヒットしたのでシングルヴァージョンがあまりに有名になりすぎているが、アルバムヴァージョンの美しく凛々しい歌唱も大いに聞き応えあり!アルバムヴァージョンというと大抵シングルヴァージョンの方がいいじゃないかと感じられてしまうのが常だが、「空と君のあいだに」に関しては両方同じくらい完成度が高くて、ぼくはどちらも大好き!
「空と君のあいだに」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
02. 旅人のうた(96年「パラダイス・カフェ」収録)
オリジナルアルバム「パラダイス・カフェ」に入っている「旅人のうた」も、有名なシングルヴァージョンとは完全に違うアルバムヴァージョン!シングルヴァージョンはなんだか行進曲のような、軍歌みたいな感じだが、アルバムヴァージョンはもっと風のように街から街へと流れゆくさすらいの旅感が出ている感じで、まさに「旅人のうた」と呼ぶにふさわしいヴァージョンに仕上がっている。実はぼくはこのアルバムヴァージョンの方が大好き!
「旅人のうた」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
03. 宙船(06年「ララバイSINGER」収録)
「ララバイSINGER」は、他アーティストへの提供曲が多数収録されているオリジナルアルバム。岩崎宏美に提供した「ただ・愛のためにだけ」、華原朋美に提供した「あのさよならにさよならを」、TOKIOに提供し大ヒットした「宙船」、工藤静香に提供した「Clavis -鍵-」と実に4曲の提供曲が収録されており、それぞれ中島みゆきらしさ全開で表現されて聞き応えがある。アルバム曲の「重き荷を負いて」は他人には見えない重き運命を背負いながらも懸命に生きている人々の胸に刺さる珠玉の名曲!最後の曲「ララバイSINGER」では中島みゆきが歌を歌う理由のひとつに触れることができるささやかな名作。
「宙船」のライヴ映像は、以下の作品にも収録されている。
04. 糸(92年「EAST ASIA」収録)
本当に名曲ぞろいで中島みゆきのオリジナルアルバムの中でも万人に名作だと賞賛されるであろうと予想されるのが、このオリジナルアルバム「EAST ASIA」!ミリオンセラーを記録した「浅い眠り」、今や誰もが知っているが最初はアルバム曲のひとつに過ぎなかった「糸」、中島みゆきのライフワーク「夜会」のテーマソングとして君臨している「二隻の舟」、隠れた名曲としてファンの間で評価の高い「誕生」など、捨て曲なしの誰の心にも響く感動的なオリジナルアルバムだ。
「糸」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
05. ファイト!(83年「予感」収録)
売上枚数的に言えば中島みゆきが最も売れていた80年代前半のオリジナルアルバム「予感」は、当時まだ生まれてもなかったぼくが後の時代から聞くと、この周辺の時代のアルバムだけなんでみゆきさんの声が小さくてあんまり声量がない感じなのだろうと不思議に思うアルバム。アレンジもやや古くて、ぼくの中ではやや地味な感じがする。それでもこの時代のオリジナルアルバムが一番売れてたんだねーなんか不思議!
それでも名曲を作り出す能力はどの時代にも普遍的に顕在していたようで、2020年の今でもCMに使われるくらいに時代を超えた名曲「ファイト!」もこのアルバムに初収録された。「夏土産」「誰のせいでもない雨が」「テキーラを飲みほして」など世間では知られていない隠れた名曲も多数収録!1曲目の「この世に二人だけ」は、すごく地味な曲なのにみゆきさんが後の時代にやたらカヴァーしたりコンサートで何回も歌いまくっている不思議な作品。何か特別な思い出や思い入れのある作品なのだろうか。
「ファイト!」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
06. ひまわり“SUNWARD”(94年「LOVE OR NOTHING」収録)
1曲目「空と君のあいだに」も収録されているオリジナルアルバム「LOVE OR NOTHING」は、全体的に上品で、中島みゆきのアルバムの中で最も高級感のある壮大なアルバム。アルバムのジャケット写真もすごく綺麗!壮大なイメージの名曲が並ぶ中にも「てんびん秤」や「流星」のような庶民的な曲も入っていて安心してしまう。男女の愛、血縁の愛、人間と動物の愛など様々な形の愛が表現されているアルバム。ぼくの中では「風にならないか」が地味だけどかなりの名曲だと感じる。
07. 瞬きもせず(オリジナルアルバム収録なし)
「瞬きもせず」はオリジナルアルバム未収録曲!その代わりベストアルバム「大銀幕」にはムービーヴァージョンが収録されている。「ここにいるよ」に収録されているのは元気のよい溌剌としたシングルヴァージョンだが、ぼくの中では絶対にバラード調のムービーヴァージョンが感動的でおすすめ!「瞬きもせず」のムービーヴァージョンを聞くためだけに「大銀幕」を買っても損はしないと思われるほどの名曲!
08. 泣いてもいいんだよ(オリジナルアルバム収録なし)
「泣いてもいいんだよ」もオリジナルアルバムには未収録!21世紀ベストセレクション「前途」には収録されている。
09. 負けんもんね(10年「真夜中の動物園」収録)
シロクマや、ハリネズミや、サメや、ごまめや、鷹や、狐が出てくる”動物”をテーマにした面白いオリジナルアルバム「真夜中の動物園」!どんな動物をテーマにした楽曲を製作しようとも、中島みゆきにかかれば人生を深く考えさせられるほどの名曲が並んでしまうから不思議だ。「今日以来」「鷹の歌」「雪傘」など世間では知られていない味わい深い名曲揃い!中島みゆきのライフワークである「夜会」という音楽劇でも犬や猫などの動物がよく出てきて、彼女は本当に動物好きなんだなぁとほんわかするアルバムでもある。
10. 時代(76年「私の声が聞こえますか」、93年「時代 -Time goes around-」収録)
中島みゆきのセカンドシングル「時代」は、1976年発売のファーストアルバム「私の声が聞こえますか」にはじめて収録された。当時生まれていなかったぼくからすれば古い感じのする作品。しかしそれはおそらくアレンジの問題であり、楽曲自体を注意深く聞けば、時代を超える名曲を作り出す中島みゆきの普遍性はファーストアルバムの時点で既に完成されている。収録曲の中では「時代」があまりにも有名だが、「あぶな坂」「海よ」「渚便り」など今聞いても感動してしまう名曲も多数!
個人的には「あぶな坂」は本当に興味深い名曲!ファーストアルバムの第1曲目に、つまりそのアーティストの歴史の第一歩となる重要な位置に、こんなヘンテコで不思議で抽象的な楽曲を持ってくるなんてことがあるだろうか!「坂」とは本来「境(さかい)、境界」のことであり、あの世とこの世の通路とされた。中島みゆきは最初の最初から、異界の住人っぽさを醸し出している。
1993年に歌い直された「時代」が収録されているオリジナルアルバム「時代 -Time goes around-」。声量もあって壮大な世界観を表現している93年の「時代」が聞きやすくてぼくは好きだな。「ここにいるよ」に収録されているのもこの93年のヴァージョン!オリジナルアルバム「時代 -Time goes around-」では「ローリング」「流離の詩」など過去の名曲も瀬尾一三さんによってアレンジされ歌い直されている。工藤静香の大ヒットシングル「慟哭」の中島みゆきヴァージョンも収録!個人的には「孤独の肖像1st.」が世間には知られていない大名曲だと感じる。孤独を感じてもう誰も信じられなくなっている人にぜひ!
「時代」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
11. ホームにて(77年「あ・り・が・と・う」収録)
1977年発売の中島みゆき3枚目のオリジナルアルバム「あ・り・が・と・う」は、さっぱりとしていて聞きやすいアルバム。地元の北海道に実際にあった喫茶店のことを歌った「店の名はライフ」、お父さんの死を歌ったとされる「まつりばやし」、作家との対談への反論として生まれたとされる「女なんてものに」など、中島みゆきという人間や生活感が感じられるような印象。日本を代表する巡礼路である四国のお遍路の歌なんてそうそうないだろうと思われるが、このアルバム「あ・り・が・と・う」の1曲目は「遍路」という名曲である。お遍路の旅のおともにぜひ。
「ホームにて」のライヴ映像は、以下の作品にも収録されている。
12. 空がある限り(17年「組曲」収録)
中島みゆきは年齢を重ねるごとに才能が枯渇するどころかどんどん進化している。このオリジナルアルバム「組曲」も捨て曲がない近年の傑作!しかも「組曲」は、先行シングルが皆無で全てがアルバムのためのオリジナルの新曲で構成されていたのだがらカッコよすぎた!!他人に言いたいことを言えずにもやもやしている時に聞く激しいロック調の「Why & No」は最高!大切な人が遠くへと去ってしまうような、胸を締め付けられる切ない名曲「休石」も必聴だ。最後の楽曲「LADY JANE」というバーは今でも東京の下北沢にあるので、ぼくも実際に訪れたことがある。
「空がある限り」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
13. 地上の星(00年「短篇集」収録)
様々な小さな物語を詰め込んだような宝石箱のようなオリジナルアルバム「短篇集」は、中島みゆきのアルバムの中では大人しめで癒し系のアルバム。「地上の星」で始まり「ヘッドライト・テールライト」で終わるところはさながらNHKのプロジェクトXのようだ。世間では全然知られていない「Tell Me,Sister」はまさに隠れた名曲!自分の容姿にコンプレックスを持って悩んでいる人にぜひ聞いてほしい。
「地上の星」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
01. アザミ嬢のララバイ(76年「私の声が聞こえますか」収録)
この「アザミ嬢のララバイ」が、まさに中島みゆきのデビューシングル!デビュー当時から”夜の女”としての存在感が存分に醸し出されている。「アザミ嬢のララバイ」が収録されているファーストアルバム「私の声が聞こえますか」に関しては、「時代」のところで書きました。
「アザミ嬢のララバイ」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
02. 泣きたい夜に(80年「生きていてもいいですか」収録)
真っ黒なジャケット写真に一筋白い文字で「生きていてもいいですか」と書かれている恐怖のアルバム!1曲目の「うらみ・ます」では後半「うらみま〜す〜 うらみま〜す〜 あんたのこと死ぬまで〜〜〜〜〜」と泣きながら歌われ、聞く者を戦慄させる。しかし恐怖の1曲目「うらみ・ます」が終わるといきなり癒し系のこの「泣きたい夜に」が始まる。なんだ最初だけ怖いアルバムだったのかと油断していたら、最後の2曲でまた雲行きが怪しくなり「百年しても私は死ねない 私を埋める場所などないから 百億粒の灰になっても私 帰り支度をし続け〜〜〜る〜〜〜」とまるで幽霊の雄叫びのように何度も何度も繰り返しながらアルバムは終わりを告げる。恐ろしいが哲学的であり、故郷を失い根を持たずにこの世を生きざるを得ない魂たちにとっては心の救済となるべきアルバム。
遠い昔は中島みゆき=暗い、松任谷由実=明るいとして比較されていたというが、単純に聞けば中島みゆき=暗いというイメージを決定づけられそうな作品。
「泣きたい夜に」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
03. 愛だけを残せ(remix)(10年「真夜中の動物園」収録)
元気のいいシングルバージョンの「愛だけを残せ」と比較して、穏やかに囁くように歌っているアルバムヴァージョンが収録されているのがオリジナルアルバム「真夜中の動物園」!ぼくの中では「愛だけを残せ」は絶対にアルバムヴァージョンがおすすめ!落ち着いていて聞きやすい!そして歌詞の意味が心に静かに染み込んでくるようで、心が安心してしまうのがこのアルバムヴァージョン!オリジナルアルバム「真夜中の動物園」に関しては、「負けんもんね」のところで書きました。
「愛だけを残せ」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
04. 悪女(82年「寒水魚」収録)
売上枚数的に中島みゆきの全盛期である80年代前半に発売されたこのオリジナルアルバム「寒水魚」は、なんと1982年の年間アルバム第1位を記録しているというメガヒットアルバム!しかし後の時代から聞くと「予感」と同様に、声が小さくてあんまり声量がないのではと感じられてしまうアルバムではある。大ヒットシングル「悪女」のシングルとは全く異なるクールなロックヴァージョンが第1曲目に収録されており驚かされる。最後に収録されている名曲「歌姫」は後に中島みゆきのセルフカバーアルバム「いまのきもち」やライブアルバム「中島みゆきライヴ!」にも収録されているが、「中島みゆきライヴ!」のヴァージョンが豪華なアレンジで声量もあって大迫力で絶対におすすめ!
05. あした(90年「夜を往け」収録)
オリジナルアルバム「夜を往け」は全体的にロック色の強い激しい感じのするアルバム。表題曲「夜を往け」は暗黒の夜の闇の中を疾走しているようで迫力があるし、「ふたつの炎」「3分後に捨ててもいい」「あした」「新曽根崎心中」「君の昔を」「遠雷」「ふたりは」など、全ての曲において男女2人が夜の暗闇の中の絶望から抜け出せずにもがいているような切迫感がある。しかしそんな2人の様々な物語の紆余曲折を経て、最後の曲「with」ではやっと暗闇の中から一筋の光を発見したかのような、暗闇から抜け出すための通路をかろうじて見つけたかのようなささやかな希望が感じられる。
「あした」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
06. タクシードライバー(79年「親愛なる者へ」収録)
1979年発売の中島みゆき5枚目のオリジナルアルバム「親愛なる者へ」。重厚感のあるシリアスな歌詞が印象的な「裸足で走れ」から始まり、タクシーの席で涙を流す女性が主人公の「タクシードライバー」、時報に向かってひとり受話器から語りかける不気味な女性を描いた「ダイヤル117」、吉野家で敗北感を抱えながら悔しさをにじませる「狼になりたい」など、昔は中島みゆき=暗いと言われていた理由がなんとなくわかる1枚。全然有名じゃなかった「タクシードライバー」は隠れた名曲だったけれど今回初めてベストアルバムに入って嬉しい限り!個人的には旅立ってゆく若々しい魂と大自然の輪廻転生の風景をともに描いた「小石のように」も初期の名曲だと感じる!
それにしてもやっぱり電話の時報に向かって 「ねぇ切らない〜〜〜で〜〜〜 何か答え〜〜〜て〜〜〜」って言う女はやっぱり怖すぎ!なんかさながら幽霊のような迫力!
07. with(90年「夜を往け」収録)
長い旅の末にようやく一筋の光を見つけたような希望のにおいのする楽曲「with」。その長い旅の中の暗闇や模索を表現しているのがオリジナルアルバム「夜を往け」の楽曲たちなのかもしれない。オリジナルアルバム「夜を往け」に関しては「あした」のところで書きました。
「with」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
08. 最後の女神(オリジナルアルバム収録なし)
オリジナルアルバムには未収録!ライブ音源が中島みゆき「縁会」のCDに収録されている。
09. 慕情(17年「相聞」収録)
「組曲」とともに近年の大傑作であるオリジナルアルバム「相聞」!全体的に元気があって生命力溢れるアルバム!特に最後の「アリア」「希い」「慕情」の怒涛の名曲3連続は圧巻の迫力!!!何歳になっても次々と名曲を世に解き放つことができるその才能に、感動を通り越して畏怖の念すら感じてしまう。この最後の3曲を聞くだけでも絶対に損のない名盤!というか最後だけに関わらず全体的に完成度の高いアルバム!2曲目の「小春日和」は、小春日和のあたたかさを「嘘のぬくもり」と表現してしまう中島みゆきらしいしみじみとした名曲で大好き!
10. 帰省(00年「短篇集」収録)
「帰省」は由紀さおり・安田祥子さんに提供した楽曲。静かでおとなしいアレンジが聞いていて心を安心させる。中島みゆきのセルフカバーがオリジナルアルバム「短篇集」に収録されている。オリジナルアルバム「短篇集」に関しては「地上の星」のところで書きました。
11. たかが愛(96年「パラダイス・カフェ」収録)
「空と君のあいだに」「旅人のうた」と2連続でシングルミリオンの大ヒットを記録した後に発売されたにもかかわらずあんまり売れなかったシングルがこの「たかが愛」。でもまぎれもない名曲!なんでこんな名曲が売れなかったのか不思議!オリジナルアルバムでは「旅人のうた」とともに「パラダイス・カフェ」に収録されている。「パラダイス・カフェ」はアルバム全体を通してさすらうような旅情を感じさせる1枚!旅の途中の人とか、人生を通して旅人の人にぜひ聞いてほしいアルバム!中島みゆきの歌で唯一沖縄のことを歌っているとされる「阿檀の木の下で」は、沖縄に10年間住んでいたぼくにとっても考えさせられる楽曲。
12. 風の笛(12年「常夜灯」収録)
オリジナルアルバム「常夜灯」は、「組曲」「相聞」とともに近年の傑作!全体を通してバランスがよく通して聞きやすいアルバム。大人っぽいジャズ風アレンジの「常夜灯」、元気のいいロック調の「恩知らず」、美しいバラード調の「リラの花咲く頃」、東洋的な民族調の「オリエンタル・ヴォイス」など多種多様な音楽性が楽しめ、それに応じて変化する中島みゆきの歌声も聞き応えがある。東日本大震災のことを歌ったとされる「倒木の敗者復活戦」は涙なしでは聞けない名曲中の名曲!個人的にすごいと感じるのは人間の精神構造を見抜いているかのような「ベッドルーム」!
「風の笛」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
13. 誕生(92年「EAST ASIA」収録)
中島みゆきの楽曲には隠れた名曲が数多くあるだろうが、その中でも最大級に名曲だとぼくが思うのはこの「誕生」!オリジナルアルバムでは「EAST ASIA」に収録されている。オリジナルアルバム「EAST ASIA」に関しては「糸」のところで書きました。
「誕生」のライヴ映像とライヴヴァージョン音源は、以下の作品にも収録されている。
番外編「Nobody Is Right」(07年「I Love You,答えてくれ」)
「ここにいるよ」の初回限定盤にのみ収録されている「Nobody Is Right」はのライヴ映像は本当に感動的!どうせならば絶対に初回限定盤を買うべき!「Nobody Is Right」はオリジナルアルバム「I Love You,答えてくれ」に収録されている。「I Love You,答えてくれ」発売後に行われた中島みゆきのライヴ「歌旅」のテーマが「武士道」だったそうだが、このアルバム「I Love You,答えてくれ」のテーマも「武士道」がテーマではないかと思われるほどに、血気盛んで野生的な感じのするアルバム!武士のように大和魂を抱きながら潔く浮世を生きている人々にぴったりなアルバム!特に表題曲「I Love You,答えてくれ」は類稀なる名曲で”君はひどい目に遭いすぎて 疑い深くなってしまった 身を守るのはもっともだけど 世界全部毒だなんて悲しいよ”の歌詞が本当に感動的!
衝撃!中島みゆきコンサート2010ではNobody Is Rightの歌詞が「争い」から「戦争」へと敢えて変更されていた