「前途」のキャッチコピー!中島みゆきは「時代」と「糸」だけじゃないというのは本当か?

 

この記事のタイトルの中島みゆきは「時代」と「糸」だけじゃない!というのは、彼女が2016年に発売した実に20年ぶりのベストアルバム中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』のキャッチコピーである。

「前途」のキャッチコピー!中島みゆきは「時代」と「糸」だけじゃないというのは本当か?

ベストアルバム『前途』のキャッチコピー

なんと清々しく、潔いキャッチコピーであろうか。中島みゆきの1975年発売のセカンドシングルであり、日本人なら誰でも聞いたことがあると言っても過言ではない往年の名曲時代と、 20枚目のオリジナルアルバムEAST ASIAのアルバム曲のひとつだったにも関わらず、まるで清らかな地下水が人目に触れずに水脈をめぐるようにして徐々に地上に姿を現したかのように、次第にあらゆる人々の心に感動を与え始めた名曲「糸」。そんな2曲の代表作を引き合いに出し、中島みゆきはこんなもんじゃ終わっていないというのだから恐ろしい。現在進行形で進化している彼女は、過去の名曲や栄光にすがりついてはいられないのだ。「前途」というベストアルバムに対して名付けるにはあまりに珍しい言葉が、前だけを見ている、後ろを振り向いている余裕なんかあるもんかという勇ましさと慌ただしさを醸し出しており心地いい。「前途」という言葉に続く単語はさまざまあり、「前途洋々」の意味だろうかだろうか、「前途多難」の意味だろうかと考えるだけでもおもしろい。そんな威勢のよい中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』の収録曲は以下の通りである。

 

 

ベストアルバム『前途』の曲目

1.銀の龍の背に乗って
2.地上の星
3.泣いてもいいんだよ
4.常夜灯
5.Nobody Is Right
6.宙船
7.倒木の敗者復活戦
8.Why & No
9.India Goose
10.産声
11.麦の唄
12.ヘッドライト・テールライト

 

『前途』を聞き終わった後に訪れる軽い疲労感

なるほどまさにベストアルバムである。前回のベストアルバム「大吟醸」以降の彼女の代表曲はすべて網羅され、また「糸」のように、誰が聞いても名曲なのにアルバム曲のひとつであるがためにあまり世間の人々に知られることのなかった、7.倒木の敗者復活戦8.Why & No9.India Gooseが入っているあたりも隙がなくて巧妙である。それにしても濃厚すぎやしないか、とぼくはこの曲目を一目見るなり心配になった。軽やかさが欠けているような、人の心にずっしりと重力をかけたいような勢いを感じさせる。3.泣いてもいいんだよの重さは、常夜灯の淑やかな声により緩和されたい意図が見えるが、7.倒木の敗者復活戦8.Why & No9.India Gooseまでの3曲なんて、連続で重力をかけるから覚悟しろと言わんばかりである。このアルバムはきっと、聞いた後に軽い疲労感が残るだろうとぼくは予想した。そしてそれは現実のものとなった。

ぼくはこのベストアルバム『前途』を聞くたびに、軽い疲労感に襲われる。密度が大きく、濃度が高く、この20年間に込められた彼女からの重大なメッセージが、65分の間に一気に心へと雪崩れ込んでくるようだ。オリジナルアルバムならばこうは作らないだろう。もっと肩を透かすような曲調も、いくらか取り入れるに違いない。しかしこれはベストアルバムだ。彼女は伝えたいことを、めいっぱい遠慮せずに詰め込んでいる。そしてそれを、ぼくたちは必死で受け止めなければならない。そう覚悟したのなら。そのメッセージは膨大で、深遠で、孤独だ。疲労させるほどの抱えきれないメッセージを、放ち続けてきた彼女を、そして今なお放ち続けているその姿を、心の底から敬った。

 

 

・「中島みゆき ライブ リクエスト ‐歌旅・縁会・一会‐ 」の発売が決定!

あれから2年、オリジナルアルバム「相聞」を挟んでから、2018年本日、彼女の新しいアルバムの情報が飛び込んできた。なんとこれまでのライブ映像から、まだCDとして音源化されていないものを集めたアルバムだという。名前は中島みゆき ライブ リクエスト ‐歌旅・縁会・一会‐ 。曲目は以下の通りだった。

 

 

・「中島みゆき ライブ リクエスト ‐歌旅・縁会・一会‐ の曲目とキャッチコピー

1.もう桟橋に灯りは点らない
2.ピアニシモ
3.糸
4.時代
5.愛だけを残せ
6.ララバイSINGER〜アザミ嬢のララバイ
7.あした
8.唇をかみしめて
9.世情
10.風の笛
11.夜行
12.ジョークにしないか

 

そして宣伝文句には元気よくこんな言葉が並んでいた。名曲「糸」、「時代」、「世情」収録!

…これはツッコミ待ちなのかと一瞬疑った。なんだか『前途』の時と言ってることが違うんじゃ…。『前途』の時にはその2曲を振り払うようなキャッチコピーをつけておいて、今回は思いっきりすがりつくような宣伝文句にするとはこれいかに。キャッチコピーなんて誰か別の会社の人が考えているのだろうが、それにしてもこんな風にして移り変わるちぐはぐさに心揺らされるのも、彼女を応援する身としては楽しいものである。

 

 

 

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