魂の遡上

 

 

大海原の旅路から帰った鮭たちが
生まれ故郷の川を探し当てるように
まさにそのようにして人間も
行くべき世界を知らずにいられるだろうか

解き放たれた精子たちが
迷いなく卵へと突き進むように
まさにそのようにしてぼくたちの魂も
燃え盛るように生きないことを許されるだろうか

傷付きすぎて怯え切った心たちは
死なないように生きることを望んでしまう
もうこれ以上痛みを感じたくはないと
恐れるものから目を逸らしてたじろいでしまう

けれど本当は覚えている
どこへ辿り着くべき生命かを覚えている
たとえ死んでもいいから果たしたい約束を
守り抜くために燃え尽きる肉体だとわかっている

ぼくたちの内なる羅針盤が指し示す国は
ぼくたちが最も恐れるものの先にある
祈るように嘆くように歩みを進めよう
たとえこの一生で辿り着くことはなくても

 

 

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