渡らず島
島の空は移ろいやすいものですから 今でなければならないと急ぎません たとえ今は彼方の島に渡れなくても いつか渡るための幻がわたしの中に残される 人の心は移ろいやすいものですから あなたに辿りつき得ぬことを恐…
島の空は移ろいやすいものですから 今でなければならないと急ぎません たとえ今は彼方の島に渡れなくても いつか渡るための幻がわたしの中に残される 人の心は移ろいやすいものですから あなたに辿りつき得ぬことを恐…
誰かといなければさみしいと泣くのは 人々が生き方を間違ってきた証し ぼくはたったひとり深い雪の中でも かけがえのない誰かといる 誰かと結ばれなければならないと 追い求める過ちをぼくに重ねないで もう何も信じ…
この世にはいくつもの肉体がある あなたの求める女の肉体は無数にある だからあなたがぼくを失ったとしても 代わりなどいくらでもあると立ち直れただろう ぼくにとってあなたはたったひとりだった かけがえのない無二…
一生分愛したのだから もう誰も愛さなくていい あなたに好きと告げられた後で ぼくはもう二度と欠乏しない 生殖器に支配されたぼくたちは 1人では物足りないと世を憂う 半分に欠けてしまった生命の果実を もう一方…
大人は何でも知っていると思ってた だから絶対に守ってくれると思ってた けれどぼくは何も言わなかった 何も言わないと大人は何ひとつ知らなかった お父さんも助けてくれなかった お母さんも助けてくれなかった ぼく…
「お母さん大好き」 「お父さん大好き」 「おばあちゃん大好き」 「おじいちゃん大好き」 自分は愛されるべき存在だと 信じて疑わなかったのは ぼくが惜しみなく愛されていたから 遠い過去だけではな…
魂だけをあの島へと置いて来たんだ あなたに好きだと抱きしめられたその時から ぼくは魂を失ってしまった 現し身だけを引きずりながら異国を彷徨う 抜け殻となるかもしれない 災いが降り注ぐかもしれな…
ひとつひとつに意味があることを 見逃しながら舟は進んだ 繋がり合って描き出す星座を 見下ろす翼もなく時は流れた 海流から運ばれてくる歌には 何ひとつとして同じ言葉はない それなのにあらゆる涙に…
異国を旅して彷徨い果てても 私たちが必ず辿り着くのは 歩き始めた遥かなる源流 光に揺らぐ森の中の清流 最初から知っていたものを見失い 最後にもう一度見出すことで 人は一生を終えていく 秘境の川…
好きな人や恋人になって別れるくらいなら、どうでもいい人として一生あなたのそばにいたかった ・「どうでもいい人」の重要性 ぼくたちはこの人生の中で数えきれないほど様々な人々と巡り会い、同じ時間を共有し、交流を…