男同士
男同士ならば手を繋ぐことすら おかしいと世界が言うから ぼくたちは小さな部屋の中で 隠れてキスをして心を揺らした 男と女ならば生殖器を舐めることすら 正しいと世界は居直るから 多いということに守られた醜い正…
男同士ならば手を繋ぐことすら おかしいと世界が言うから ぼくたちは小さな部屋の中で 隠れてキスをして心を揺らした 男と女ならば生殖器を舐めることすら 正しいと世界は居直るから 多いということに守られた醜い正…
この国なのかあの国なのかわからない 神様は島々に境界線を設けない この国の人もあの国の人も交わる どこにいるのか今、答えすらない ぼくたちは国境に浮かぶ青い孤島 男ではなく女でもなかった ぼく…
もしもぼくが女だったなら あなたに好かれても嬉しくなかった ぼくの肉体が好きなのか 心が好きなのか わからなくなるから あなたは女の肉体を求めるのに ぼくに好きだと言ってくれた それはあなたがぼくの魂に触れ…
どうすれば普通に生きられるのか そればかり考えて時は進んだ 将来や未来のことなんて 幸せな人だけが考えればよかった 泣きながらもがき苦しんで ようやく普通の人に見せかけた 傷付いて何もかもを見失い それでも…
もしもたったひとりの 運命の人に巡り会えたとして その人と結ばれなかったなら ぼくたちは旅に出るしかない 神様に問うしかなかった どうしてぼくはこんな風に生まれたの なにひとつ答えてはくれなかった 普通に生…
ぼくたちが男と女だったなら 何ひとつ迷うことなく事は進んだ 抱きしめ合うことも キスをすることも おかしいと葛藤しながらも 突き動かされる定めがあった まともじゃないと苦悩しながらも 抗い切れない衝動があっ…
ぼくを否定するものを ぼくから遠ざけなければならない それだけが大切なぼくを護るための たったひとつの方法だった けれど世界はぼくを否定していた それがぼくの生まれた時からの定めだった この先を生き残るため…
醜くて穢れた鳥たちが ぼくの死ぬのを岸辺で待っている 朽ち果てた肉体を喰らうことでしか 生きられない不吉さを物語っている もっと遅く死ぬはずだったのにと 人々は嘆いては悲しむけれど 誰もそんな約束をしていな…
きちんと愛されていたのに どうして不良品になったの 欠乏しているものなんてないと 天が教えてくれるけれど 人間たちが語り出す 欠けているものがどこかにあると 些細な言葉が傷つける 指さすものが近くにあると …
大陸の果てへと辿り着いても あなたへは辿り着かない あらゆる世界の果てを彷徨っても あなたには巡り会わない 幻だったのだろうか ぼくを愛していると告げる声 たとえ夢だったとしても この一生で触れ合えたことが…