魂の巡礼

 

 

聖なる回路を辿っている限り
ぼくたちはきっとまた巡り会える
だから今は嘆き悲しまなくてもいい
巡礼の道はひとつへと繋がっていく

憎み合って別れた凍てつく冬の夜も
抱きしめ合って離れられなかった春の光も
やがてはひとつの運命へと収束する
矛盾すればするほど生命は輝きを増す

いつだってぼくたちは恐れを抱きながら
この一生の巡り会いだけを思っていた
けれど生と死を超越した道を発見したとき
何もかもの痛みと悲しみが融けて消える

覚えているのはふたつの同じ果実の夢
覚えているのは異なる肉体の同じ液体
たとえ別々に引き裂かれているように見えても
快楽の岸辺で結局は同じ魂へと還った

ここで別れる運命にあっても
どうせまた もう一度巡り会おう
巡礼の道はひとつへと繋がっていく
何も怖くはないとそれぞれの使命を慈しもう

 

 

あるはずのないものが 立ち現れる
いるはずのない人が ここにいる
巡り会うはずのないものが不思議と巡り会う
まるで初めから決まっていたかのように

 

サンティアゴ・デ・コンポステーラに響く祈り
紀伊山脈の奥地に流れ落ちる絹の滝の調べ
はるか彼方の聖地がやがて重なり合うように
ぼくたちの魂もひとつへと繋がっていく

 

 

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