今のあなたのままではいけないと
ぼくを否定することがあなたの仕事だろうか
あなたがぼくのすべてだった頃を思い出す
あなたがぼくを育んだ日々を思い出す
どんなあなたでも生きていていいのだと
あなたにゆるされたことがないことに気がつく
あなたはぼくの神ではなかった
あなたはただの人間だったの
ぼくの根源からの炎をいつも穢した
ぼくの生きる意味を根こそぎさらった
あなたはぼくのすべてだったのに
ぼくの生命はあなたに水をもらえない
軌道を外れないように
異物へと化身しないように
指導したあなたからぼくへの思いは
いつもぼくの運命を踏みにじった
かつてあなたはぼくのすべてだったけれど
ぼくはあなたのすべてではなかった
あなたの声の届かぬ荒野へ帰っていこう
あなたに与えられたものと与えられなかったものを忘れない
ぼくの幼き日の願いははるか時の波の彼方
祈り続ける腕も枯れ果てた頃
突然に夢は叶っていたの
ぼくだけがあなたたちに愛された時代
それなのにぼくは決して幸福ではなかった
穢れた願いを押し付けるだけになったあなたたちを
ぼくは退いて清らかな森林へと肉体を浸す
故郷なんてどこにあるというのだろう
ぼくの魂が幸福であるということを
あなたたちはいつゆるしてくれるの
いつまでぼくを偽物と欲望の
あなたたちの幸福へとおびき寄せるの
ぼくはあなたたちがぼくの幸福を
永久に願ってくれると信じていた
けれどあなたたちは愚かしく
濁った氷を恵みだとぶつけてくるばかり