世界中にはたくさんの
美しい宝石のような風景が眠っている
まるで夢の中を彷徨い歩くように
それぞれの美しさを褒め讃えてゆく
たとえカメラを置き去りにしても
ぼくは世界の巡礼をやめないだろう
胸の奥にだけ刻みつけてゆく風景
心からの土地褒めを天空へささげよう
見せびらかすために宝石を
必死にかき集めるわけじゃない
それはただ自分の中に宿すため
誰にも知られずそっと愛でるため
誰かに見せてしまえばきっと
憂世で比べられ穢されてしまう
尊い宝石は絶対的なままで
その美しさを持つ人だけに解き放つ
ぼくが心の中にたくさんの宝石を宿すのは
いつか悲しみが魂を滅ぼすことを防ぐため
冷たい否定が永久に降り注いでも
絶対的な美しさがいつも心を慰めるだろう
あれはどこの国の美しさだろう
見知らぬ民族が夢の中で歌っている
旅路における何もかもを忘れ去っても
決して消えはしない灯火がある
変え難い運命に打ちひしがれても
叶わない思いを抱きしめながらでも
世界へと対峙する不思議な熱源を止められない
それはぼくをいつも生かす揺らぎ