燃えている少年【2015年1月2日】

 

 

「もう誰も愛せない」と
雪から手紙をもらったとき
あまりに突然で
冬の中に立ち尽くした

世界は音をなくして
ぼくの鼓動だけが
ひとりきり動いていた
とても規則的に無機質に

誰もいないこの世界
ぼくの中の異国
そんな風にいつまで
自分の中だけで生きていくの

時を止めて笑う
異国に住む少年
もう二度と銀色の針が
動くことはないでしょう

だって時を止めれば
時は永遠になる
傷もつかないし
痛みもないわ

天を貫く氷脈は
青さと冷たさで時を止め
少年は住み着く
果てしなく透明な城の中

澄んだ硝子の城に匿われながら
鏡だけと向き合って
いつしか鏡の中の少年に
自分自身を奪われるだろう

出たくても逃げられない
入りたくても進入できない
無限の鏡面に照らされて
自らの裸体を愛することしか知らない

突然

赤い炎が少年を襲う
燃やされる少年
肉体も精神も魂さえも
濃厚な情熱を注がれる

著しく艶やかな色彩
正気を失いそうな音楽
狂いを抑えられない感性が
無尽蔵に押し寄せてくる

透き通るものしか知らない
澄んだものしか見たことがない
少年は引き裂かれる
天と地へと肉体を捧ぐ

無のような城の中で
有の極地に燃やされて
出たくても逃げられない
入りたくても進入できない

正常でいられるはずがない
狂気を取り除けるはずがない
少年は燃やされています
永遠という時の中で

だって時を止めたのだもの
城は閉ざされているのだもの
自分を救える人があるならば
自分だけだと笑っています

藝術だろうか
創造だろうか
Passionだろうか
無だろうか

いったい何が少年を
他人と巡り会わせてくれるのだろう
孤独という言葉に裏打ちされた
果てのないこの世界で

「もう誰も愛せない」と
知ってしまったから
ぼくは精一杯に
ぼくを愛することにするよ

 

 

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