少年の手の中の果実

 

あふれ続ける青い液体は
ぼくが野性であることの証し
とめどなく流れ出る印し
ぼくは完全に人間になれない

もはやなくなったと思っても
すぐにまた果実は満たされる
果実に蓄えられる生命の幸福
果実からあふれ出る野性の快楽

春がまた帰ってくるように
朝の光がすぐ訪れるように
命がまた舞い戻るように
ぼくたちは果実を満たしてゆく

触れたくないのに触れてしまう
保ちたいのにこぼしてしまう
君とぼくで野性の森へ帰る
放たれる動物のように意味のない声

きっと快楽とは言えない快楽
不快な違和感の中の一瞬の煌めき
あらゆる少年は快楽に飲み込まれる
触れられたくてたまらなくなる

ぼくたちは果実を握り締める
握りしめてはなさなくなる
果実はいつも美しく濡れている
欲しいのはほとばしるあの感覚

本当は知っているのに
蓄えることが幸福なこと
野性の森がぼくたちに言うんだ
果実をたくさん触りなさいと

ぼくたちは思い出す
果実がまだ何も生産しなかったあの頃
ぼくたちの手はあいていた
そして持つべきものに手をのばしていた

ぼくたちはもう持てない
生命が本当に持つべきものを
だって少年たちの手は
果実を握ってはなさないから

 

 

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