この国なのかあの国なのかわからない
神様は島々に境界線を設けない
この国の人もあの国の人も交わる
どこにいるのか今、答えすらない
ぼくたちは国境に浮かぶ青い孤島
男ではなく女でもなかった
ぼくたちは遥かなる海を渡る鳥
男にもなれるし女にもなれた
肉体が意味を持たなくなり
魂だけをお互いに求め合うとき
ぼくとあなたは溶けてなくなり
やがて離れても呼び合う核を形成する
この国になる時代もあの国になる時代もある
けれどそれは取るに足らないことだった
揺るぎない確かなことは
海流の中にこの島がただあるということ
境界線を引く人間たちは
永遠に苦しみから抜け出せない
おそれと愛を同時に乗り越えたあの時
ぼくたちは確かに神様に触れた
(2024.12.08 対馬より)