我を忘れて燃えさかれ
世の中のことなどふり向きもせずに
あの世もこの世もことごとく焼き尽くせ
わたしとあなたが異ならないために
愚かしくすべてを分け隔てる剣が
今日も人々の心を惑い苦しませている
何もかも同じだと知っている赤子が
ただひとり安らかに眠っている
根源より迫り来る炎の正体を見極めろ
うろたえて死なないために生きてしまう前に
揺らぐことのない核心の炎と対峙せよ
必死の形相で人々から恐れられたとしても
性愛の頂点に至った者たちの顔つきは
我を忘れて情けなく歪んでいる
この快楽のために生まれてきたはずなのに
その一瞬が最も甘い苦悩に満ちている
憤怒も 必死も 射精も
我を忘れているとすれば同じこと
燃え盛る形相で悟りさえ突き抜けて
やがて紀伊山脈の清流へと帰り着こう