なぜ隠し合うのかを
ぼくたちは知っている
誰もが存在することを知りながら
誰もが存在しないフリをする
動物的であってはならない
“人間的でなければならない”
野性的であってはならない
“理性的でなければならない”
知らない間に植え付けられた定めを
時々破っては浮世は揺らぐ
どんなに隠しても見破られている
人は動物的で野性的なこと
敢えて隠して露わにすることに歓喜する
その複雑な眺めは寄せては返す海の姿
はじめから隠せやしないから
必ず露わになる瞬間を待っている
その果実をぼくらが持つ限り
ぼくらは動物のように果実を舐めるよ
時に触り合い 時に慰め合いながら
剥き出しになった秘密を喜ぶ
こんな果実が隠されていたんだと
愛しさのあまり口に頬張る
秘密の楽園は光に満ちている
誰もがその楽園への道を知っている
「世界の中で君にだけ見せるよ
ぼくの果実を
世界の中でぼくだけに見せてね
君の果実を」