ぼくの魂を救い出す者

 

 

心が迷妄の中にいたとき
ここじゃない場所に救いがあるのだと
暗闇の中でことごとく傷つきながらも
他人の創造物だけをまさぐり続けた

自らの運命に苛まれ
自らの魂が滅んだとき
自分ではない国に活路があるのだと
恐れも知らず異国へと踏み入って抜け道をさがした

ぼく自身を苦しめているものが
他でもないぼく自身の運命であるなら
ぼくをぼくから遠ざけることで
安らぎと癒しを得られると眠った

けれど他人はどこまでいっても他人だった
他人の創造の中にぼくのための感性はなかった
ぼくがただひたすらに求めている美しさは
他でもないぼくにしか創り出せない宝石だった

ぼく以上にぼくを感動させられるものを
ぼく以外の人間が知っているはずもなかった
ぼくが一生愛し続けられるものは
他でもないこの腕から生み出さなければならなかった

他人のうごめく浮世で彷徨っても無駄だった
憧れた異国の空の下に佇んでも自分は自分だった
ぼくを深く苦しめているものがぼくの運命でも
そこからぼくを救い出せるのはぼくしかいなかった

もう他人なんてふり返らないよ
宝石は自らの根源の中だけに輝いている
魂を共有したあなたのことをたまに思い出しては
果てしない巡礼の道で孤独に歩みを進めよう

 

 

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ぼくには自らの魂を救済する使命があり、労働という下らないまやかしに巻き込まれている暇はない

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