2つの濡れた果実

 

 

あなたの果実は熱かった
あなたの果実は震えていた
あなたの果実は潤っていた
そしてそれは ぼくも同じだった

異なる肉体なのに同じであることが不思議だった
離れ離れなのに通じていることが嬉しかった
別々に生まれてもやがて竜宮でめぐり会い
碧い海の光の中でお互いの気持ちを伝え合った

ぼくの果実はあなたの果実と同じだった
だから本当は愛し合うはずなんてなかった
あらゆる恐れを超越してぼくはあなたに好きだと告げた
生命の摂理を乗り越えてあなたはぼくにキスをくれた

同じ果実なのになぜお互いに呼び合うのだろう
異なる果実なのになぜ同じように震えるのだろう
わかっていたのに知らなかった少年の秘密を
ぼくとあなただけで触り合って確かめ合った

誰にも言えないことが尊くて泣きたかった
誰もが知らなくても2人だけが知っていればよかった
ぼくたちが死んだら秘密は世界から消えてなくなるだろう
それでも濡れた果実は永遠に春の光を覚えている

 

 

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