少年の生命が最も快楽を感じるのは
春の果実から青い液体を解き放つ瞬間
ぼくたちはこのために生まれてきたんだと
濡れた果実を触ることに夢中になる
どんなに隠しても見抜かれてしまう
どんなにすましても暴かれてしまう
少年が春の果実を持っている限り
誰もが淡い光の中で顔を歪ませている
少年が最も満たされるはずの瞬間は
少年が最も喪失感に苛まれる瞬間
永遠に終わることのない快楽と喪失の輪廻
いつまでも掴めない快楽が果実に宿っては消える
昨日満たされたはずなのに
どうして今日も触ってしまうのだろう
今日果てて眠りについても
きっと明日も触ってしまうのだろう
幸福と喪失を同時に引き起こしてしまうことが
少年として生まれてきた者たちの宿命
健やかな肉体を誇らしく顕しても
真ん中を貫く果実が激しい相剋の影を映し出す