未来と過去の囚人

 

 

人間たちが自らの密かな残酷さを
目の当たりにするために集う
荒野の先にあるのはさらなる残酷か
あるいは平和という名の幻影への居直りか

人間が残酷でなかった時代など
どこにあったというのだろう
そのたったひとつをむしり取っては
これを“残酷”だと喚き立てる

悪者が欲しいのならば
敗者へと押し付けるのがよかろう
世界にあふれる残酷の前に
攻撃される的を立てればよかろう

本当の残酷さはどこにある
これを見なさいと追い詰められた裏にある
真実のカラクリは何を語る
あらゆる残酷を誰もが担えない

罪を償えと攻め立てる人々
咎の重みを疑い出す時流
つくられた歴史に歯向かえば
勝者という名の悪魔が叫ぶよ

人間という動物の運命の流れが
通常を装っては廻転を促している
自らとは関係のない罪を見出しては
見知らぬ物語の中へと意識を埋める

過去と未来に囚われてる
現在を生きることを忘れている
燃さかる炎のような命の音を
こぼれ落としながら何を聞こう

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ