この命の果てでどうせ何もかも
失ってしまうというのなら
なぜぼくたちは手に入れるのだろう
なぜぼくたちは所有するのだろう
借り物であることを忘れて
自分のものだと欲望に支配されたとき
ぼくたちの苦しみは始まる
いつまでも失いたくないとしがみつく
あらゆる所有は天からの借り物
どうせ最後には返す運命の幻想
どんなに握りしめても抱き守っても
あなたの所有はあなたから奪われる
何も持たずにこの世を去る時の
風景を思い返せばこの命すら仮のもの
新しい運命を担う魂に対して
所有という穢れはあまりにも重すぎる
あまりに美しいので愛してしまったの
この世界も ものも 人も
けれど必ず岸辺で手放す定め
あなたはわたしのものにはならない
別れてしまったと泣き狂う人々
喪失してしまったとうつむく心たち
あなたは何も失くしてはいない
はじめからあなたのものは何もない
奪われたものも 騙されたものも
盗まれたものも 壊されたものも
ただ約束を守っただけだった
あなたから立ち去っていく約束を