旅立ちの命じ

 

 

俗世にあっては真理の光が
霞み見えにくくなるというのなら
わたしは人の世を離れよう
おそれを知らぬ獣のように

滞り立ち止まる淀みが
この精神を支配するというのなら
わたしは激流を創り出そう
傷つく前の少年のように

死なないために生きてきたのだと
老いれば老いるほどに人々はしがみつく
安らかな硝子に匿われたいと
小賢しく守り奪うための城壁を築く

旅立つことはおそれを知らぬ証
旅立つことは傷つきたい衝動の炎
あなたには決してできやしない
永遠に旅立ちたいと夢みるがよい

あなたがどんなにあなたを守り抜いても
あなたはやがてすべてを奪われる
時という魔物がすべてを連れ去り
どうして守り抜いたのかわからなくなる

本当はおそろしいものを
混沌の中で喰らいたかったこと
本当は全身が傷つくほどに
まれびとの魂に触れたかったこと

思い出してみないか
あなたの一生が終わりを告げるその前に
旅立ちなさいと光と闇を注がれたことを
あなたの命に命じられたものが何かを

 

 

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