いけにえ

 

地球の美しい景色を求めて
こんなに遠くへ来てしまったの
けれどどれだけぼくがそれを見つめても
それはぼくの創り上げたものじゃない

ただ受け取っているだけよ
大いなる誰かの大いなる計画
ただ享受しているだけよ
ぼくはただここまで歩いて来ただけ

南仏の淡い光あふれる村々
台南の照りつける清らかな赤色
ロヴァニエミの氷の大地に浮かび上がるオーロラ
ルンビニの聖地にはためく五色の夢

どれひとつとして
ぼくが心に誇れるものはない
それはとてつもない贈り物
ぼくが生み出したものはない

受け取ったのならば返さなければならない
本当にそうなのかしら
受け取っただけで返したことになるとい
それは天にも当てはまるかしら

天から受け取った美しい光に
返せるものがぼくの掌にはない
天の創り出した果てしなく宿る美に
とって代わるものをぼくは持ち合わせない

創造しなければならないと
いつしか自然と思っていたわ
命を燃やして火炎を天へと届かせたいの
誰から教えられることもなく

悲しみを背負わないのに歌えない
幸福を問わずに愛することなどできない
天へと返す捧げものは
創造へと燃え上がるこの命そのもの

 

 

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