あなたを愛したときはあなた以外
誰もこの世にいないと本気で信じていた
やがてあなたを見失ってから気づいたの
ぼくはこの世にひとりぼっちになっていた
本当はひとりぼっちじゃなかったの
たくさんの魂と心通わせていたわ
それが突如として消え失せて
はじめからひとりだから諦めろと天が言うの
あなたを愛する前の国へと帰りたい
ぼくとあなた以外がこの世にいた日々へ
愛は幸福をもたらすというのに
他のすべてを敵だと憎んで置き去りにした
もう一度誰かに出会えるだろうか
あなたしかいないこの世界の真ん中で
あなたがぼくを立ち去ってしまった後でも
ぼくはこの世で誰かに出会えるかしら
誰に語りかけるわけでもない言葉を
美しいからと天空に祀って祈りを捧げた
決して難しいことなど望みやしない
ありふれたことしか夢見ていないのに
もしかしたら波の彼方から
誰かが言葉を返してくれるんじゃないかって
誰もいないはずの虚空の中で
海と天の境のない碧色を抱きしめる
楽しそうにふるまっていても本当は笑っていなかった
頷いたふりをしてまともになろうとして泣いていた
「誰かいませんか 誰かいませんか」
せめてもう一度だけ人に会いたい
この一生の中では たったひとりでも
心を通わせられたら上出来かもしれない
この一生の中では たったひとりでも
言葉を交わせたら泣きたいほどに嬉しい
吹きすさぶ風の中で荒野に立ちすくむ
誰にだって簡単に叶う夢がぼくには届かない
あなたのことを思い出してまた天に手紙を書こう
返されなくても出し続ける文(ふみ)だけがあなたへの愛の証