水色の少年の時空は乱れる

 

十年しても忘れられないなんて
愚かなことだと人は嗤うだろう
けれど時を凍りつかせた少年にとって
十年なんて一秒よりも短いの

ほんのわずか時が経っただけで
世の中はひどく変わったと噂された
何ひとつ変わっていないと瞳に映る
少年はまた置き去りにされた

どうして時計が水色に凍りついたの
悲しい心を閉じ込めてしまったの
与えられた愛を穢したくなかったの
誰が氷を融かす熱を持っているの

ぼくの心は時を解脱した
銀河のように壮大に広がる長針と
原子よりも細かく砕かれた短針が
ひとつに重なり不思議な坂を越えた

何ひとつ変わらない愚かさの中で
すべてが変わってしまったと焦るんだね
少しずつ少しずつ変わっていく
本当に大切なものに気づかないんだね

あなたがぼくに与えた水色の時計は
宝石のように清らかに光る時を刻む
これは誰にも見えない時計の針
ぼくとあなたしか動かすことができない

一秒よりも短い永遠を抱きしめて
ぼくはあなたのことを待っている
ふたつの果実が重なり合う熱だけが
水色の時をふるわせる光

 

 

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