満ちる果実
少年の果実が 満たされる度に思う 青い液体にはもどかしさと 根源の炎が宿っている 快楽と共に解き放っては すぐにまた満たされ 海がまるで揺れ動くように 忙しく果実は濡れゆく 水色の果実が 満た…
少年の果実が 満たされる度に思う 青い液体にはもどかしさと 根源の炎が宿っている 快楽と共に解き放っては すぐにまた満たされ 海がまるで揺れ動くように 忙しく果実は濡れゆく 水色の果実が 満た…
誰にも言えないからこそ 恋は透明になる きらきら光る結晶体は いつまでも消えない 誰にも言えないからこそ 恋は永遠になる きっとあなたは死んでも消えない 生まれ変わる円環にさえ組み込まれる 誰…
電車に轢かれて死んでゆく あなたの姿を見た あれはぼくのことだったのかもしれない なぜかそう思われてならない 迷いもなく死んでゆく あなたの姿を見た 本当はぼくが死ぬはずだったんだと 意味のな…
素晴らしいものと美しいもの どちらかひとつを選ぶなら ぼくは迷いなく 美しいものを選び取ろう 倫理的なものなんて要らない 善良なものなんて要らない 徳の高いものなんて要らない それよりもひとつ…
男ではない人がいる 女ではない人がいる 男でも女でもない人がいる あの人はいったい誰なの 男であると語る人がいる 女であると語る人がいる 男でも女でもあると語る人がいる けれど本当はあなたは誰…
学問がどうしてつらいのだろう あの人たちの気持ちがわからない 世界のすべてを知る美しい過程を なぜ疎ましいと退けるのだろう 労働の何がつらいのだろう たかが人の隙間をすり抜ける道 虐げられるこ…
矛盾に身を浸し 無秩序に身を浸し 混沌に身を浸し 無常に実を浸し 不条理に身を浸す それにより異質な場所へと踏み入れるおそれではなく むしろ故郷へと 帰り着く思いがするのなら あるいはそのよう…
ぼくの感性を泉源とする言葉たち 何の役にも立たない 誰にも利益を与えない だからぼくは書き続けられる 清らかな泉の水は 枯れることを知らない 理由がなくても 生きていいんだよ 与えなくても 生…
誰もが火を持っている たったひとつの火を隠して歩いている 内なる火の声を聞くことが ぼくたちの生きていく意味だ 火を絶やすことなかれ 火を遠ざけることなかれ 美しい火に濁世の泥をかけて 灯りを…
魂が待っている ぼくのもとへ帰ってくるのを 避けられないさよならが この世でふたりを分け隔てても 生きているうちにたくさんの 美しい風景を見つけたのは どんなに悲しいことがあっても 心の中に慰…