少年の果実が
満たされる度に思う
青い液体にはもどかしさと
根源の炎が宿っている
快楽と共に解き放っては
すぐにまた満たされ
海がまるで揺れ動くように
忙しく果実は濡れゆく
水色の果実が
満たされる度に思う
ただ解き放つためだけの
青い液体ではないと
満ちたままの果実が
解き放たれる瞬間を夢見て
どこまでも大きく天を向く姿を
少年なら誰もが知っている
解き放たれないままで
満ちるまで蓄えられた青い液体は
少年に力を授け始める
生きるための炎を注ぎ始める
解き放たれる快楽も
夢中になるほど儚くて美しいけれど
解き放たれない衝動も
青い液体が少年にもたらす果てしない恵み
南の島の海が生きていたことを覚えている
1日のうちに満ちては引いてを繰り返して
宿る碧色さえ一瞬も同じことなく
生命の森を蓄えたままうごめき続けた
ぼくたちはいつもすぐに
満たされた果実を触ってしまうけど
触らないままで満ちた海を
漂う夢の中にいる心地よさを忘れない
ぼくたちはいつもすぐに
解き放たれる瞬間をむさぼってしまうけど
解き放されないままで求め合う
果実の熱さと痛さを忘れない
あなたはまだ光に満たされた
あの海の果てを眺めていますか
同じように満ちては確かめ合った
ふたりの果実は同じ熱さを持っていた