永遠に旅する少年を
見たことがあるだろうか
旅人はいつの時代も
おそれに負けてすぐに散る
まともになれと騒ぐ
世の中の渦を乗り越えて
正しく生きろと叫ぶ
臆病者たちの泥をすり抜けて
貫かれた直感にのみ
従いながら歩む巡礼の道
あらゆる神を敬いながら
その実ただ自らを信仰した
若い時代だけならと
まだゆるされる時を貪って
せめて1、2年だけならと
勇敢な情熱に期限を設けて
消えていった旅人の名を
ぼくたちは誰も知らない
消えたことさえ忘れ去られて
いなかったも同じ老人になる
まともになんか生きられないと
浮世離れの孤独が軋む
どうせ正しく生きられないならば
選ぶべき道はただひとつだった
何もかもを失った者にだけ
与えられる神聖な切符だ
何もかもを失った魂だけが
永遠の色を焼き付けられる
