異国の祖国

 

 

異国に祖国の面影の風が吹き
祖国がはるかなる異国と感じられる時
ぼくたちの心に矛盾は花開き
新たなる旅立ちの日を知る

かつて訪れたこともない異国で
胸の中に広がる懐かしき思い
故郷のすぐそばにいるのに
不思議と通り抜ける異界への夢

ねぇ近いものが最も遠いと
誰もが教えてくれなかったね
ねぇ遠い人が最も近いと
知ってしまっては浮世を泳げない

神聖な旅の中ではいつでも
本当だと言われたことが嘘になり
立ちすくむ巡礼の足の先には
子供の頃に好きだった歌がよみがえる

神々の都に人は迷い込み
出口を探すことなく澄み切った魂を翳す
やっと帰って来たのですと
異人(まれびと)は清らかな水に心閉ざす

 

 

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