なぜ喪失に苛まれるのだろう
生まれたときにはあなたなんか知らなかった
ずっとあなたを知らずに生きてきた
それなのに今 ぼくは欠乏している
あなたなしでは生きられなかった
けれど運命がふたりを引き裂くことを命じた
止められなかった どうしようもなかった
ぼくたちは何のために出会ったのだろう
生まれた頃に戻っただけのこと
あなたのいない世界なんて当たり前なのに
ぼくの魂の半分をあなたが連れ去ってしまった
もうぼくは現し身としてこの世で生きられない
異形の者と成り果てた後では
誰と話しても独りで暮らしてるみたいだった
あなただけがたったひとりの人間
あなたがいなければ魂の鼓動が始まらない
ぼくもあなたの魂の半分を
知らず知らずに持ち帰ったのだろうか
どんなに異国を彷徨ったところで
あなたの影が現れるのはそのせいだろうか
あなたもぼくと同じように
喪失の気配と共に生きているのだろうか
ぼくがいなければあなたの魂は
欠乏の海に浮かんでいるのだろうか
いつの日かまた出会えたのならば
お互いの魂を返し合ってひとつに戻ろう
もう二度と離れられないように
たとえ何度生まれ変わりを繰り返しても