この少年を傷つけることはゆるさない
野生動物のようにぼくは敵に牙を剥く
この少年を守れるのならば死んでしまっても構わない
死なないために生きている命じゃない
この果てしない宙の下で
一体誰が敵で誰が味方なんだろう
とめどなく広がる荒野の中で
血を見たい者と慈悲深い者の違いはどこだろう
もしかしたらぼくを愛してくれる者たちを
傷つけて走ってきたのかもしれない
もたらされる揺るぎない愛情を
毒だと決めつけて退けたのかもしれない
獣のようなぼくの眼には理性が宿らない
何が本当で何が嘘なのかわからない
愛すべき者と憎むべき者の境がわからない
だから誰も彼もを傷つけて庇った
ぼくはこの少年と約束をしたんだ
決して裏切らないと約束したんだ
否定しか注がれない運命を背に受けて
ぼくはぼくを守り抜くと誓った
他人を守る物語は美しいと人は噂する
自分を守るだけの人生なんて愚かしいと蔑む
何が聞こえても惑わされないよ
ぼくはぼくを使命として守り抜くの
他人も自分も変わらない存在
誰であろうとたったひとりの尊いぬくもり
嘘偽りを注がれる憂き世をすり抜けて
青色の聖域で ぼくとぼくだけで暮らそう