黒い人

 

黒い人は恐ろしい
黒い人は怪しい
物を盗むかもしれない
人を食べるかもしれない

白い人は恐ろしい
白い人は怪しい
ぼくたちを支配するかもしれない
皆殺しにするかもしれない

どんなに日の光を浴びても
ぼくは黒い人にはなれない
どんなに日の光を避けても
ぼくは白い人にはなれない

共に生きたいと願うならば
底光りを見つめること
人は誰もが同じなのだと
その根底を見定めること

共に笑うことは容易い
憎み合うことならばなおさら
彼らは鬼ではないと自らを諭しながら
鏡に映る顔を見ては安らぐ

黒い人は悲しい
黒い人は泣いている
白い人が怖いという
ぼくたちが恐ろしいという

恐ろしいことを恐ろしいと素直に
言えない世界なんておかしい
恐れを精一杯に湛えた笑顔が
世の中から歪んでは消えてゆく

 

 

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