指先と罪の水

 

 

ゆるされない罪をまとって
生きているのなら思い出して
おまえを深き罪の淵にあると
裁いたものは真実の権化か

要らない人間だと打ち捨てられて
傷ついたのなら思い出して
おまえを要らぬと吐き捨てたものは
神か仏か誤りあふれる人間か

時を超えても残る罪が
ぼくにあるのならば宝物にしよう
何もかもが移り変わるこの世で
残存するものは遡上であろうと尊い

ゆるされてほしいと願いつつ
罪を取り払われることを望むよりも
いっそ濃厚な罪の衣を身にまとい
悪人であると名乗りをあげよう

そうこの世は生きている限り
誰であろうとすべての人が悪人
自らは清らかな身であると
言い放てば言い放つほど怪しい

決してゆるされないという救いを
罪の中の罪に解き放たれる祈りを
暗黒の先に開かれる確かな光は
惑い嘆く濁世における唯一の灯火

悪をおそれることなかれ
正常へと逃げることなかれ
真理の金剛が指し示す階段は
他でもない悪人へと続いている

清らかな果実を摘むその指の先を
冷たい水の中へ浸そう
青い液体の美しく伝う指から
見果てぬ罪の水が感覚をさらっていく

 

 

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