ただひとり裏切らぬ者

 

この一生の中であなたを
裏切らない者はない
ずっと一緒にいようと誓っても
必ずあなたを立ち去っていく

愛だと言えば留まるだろうか
血縁ならば思い直すだろうか
縁の嵐は浮世に吹きすさび
たかが死によってぼくたちは旅立つ

何も持たずに生まれ着き
何も持たずに消えていくのなら
ぼくたちの誓いの言葉ははじめから
なかったも同じ透明な約束

けれどたったひとり偽らない者がある
けれどたったひとつ真理の言葉がある
あらゆる人間がことごとく裏切っても
必ず果たされるべき約束が燃えている

なぜ気が付かなかったのだろう
なぜ見失っていたのだろう
凍り付いた銀河の果てで動かない羅針盤が
いつだってぼくたちを導き続けていたのに

 

 

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