何もなくとも愛される人
何もなくとも愛されるはずだという自己愛が 覚醒しあなたを蝕んでゆく 何かなければ愛されない世界など 穢らわしいと思い上がりに身を隠す 赤子の頃に戻りたいですか 笑うだけで誰もがあなたを見た世界…
何もなくとも愛されるはずだという自己愛が 覚醒しあなたを蝕んでゆく 何かなければ愛されない世界など 穢らわしいと思い上がりに身を隠す 赤子の頃に戻りたいですか 笑うだけで誰もがあなたを見た世界…
詩の解釈を問いかける者には 創造主の不可解な言葉の雪が降り注ぐ 詩の説明を求める者には 救いようのない惑いの迷宮が建てられる 詩は祈りだということを あなたは知らずに生きたのだろうか 具体的で…
正しくなければ生きられない世界なんて 正しくなく生まれ落ちた生命は 凍え切った青い吹雪の中で独り 闇に溺れて崩れ落ちるしかないのですか 正しく生まれてよかったですねと あなたを憎むことでしか生…
海へと駆け下りる坂を終えて ぼくたちは巡り会った 太古から生き延びたあなたを抱いて ひとつまたひとつと重ね合った 生きている者たちとしか 言の葉を交わさないことの虚しさよ たかが生きることしか…
美しき清らかな祖国において 異国の穢れを取り祓え わたしがずっと憧れていた異国は 紛れもないわたしの穢れだった 限りなく壮大な山脈も怪しい 透き通り光り輝く水たちも疑わしい わたしはいつもさが…
旅するだけでは不十分だと 旅の炎の声が聞こえる 旅するだけでは終われないと 古代より彷徨いの歌が聞こえる 誰でも超えられるものを超えては ぼくたちは誇りを高くした 自分は他の人とは違うのだと …
もしも旅することがゆるされなければ わたしは愛に打ち砕かれた藻屑となって 愛そのものを恨むことで 生き延びることを覚えただろう もしも旅することがゆるされなければ 沈まぬ太陽に永久に焼かれ 自…
明日にはもう会えなくなると もしもわかっていたならば ぼくたちはどんな悪人にさえ 憎しみでなく慈しみを注ぐだろう 別れを促す扉の鍵が 既に解き放たれていることを知るならば ぼくたちはありふれた…
この世に生まれ落ちたはじめての冬 あらゆる大自然は深く息を潜めて すべての大地は白銀と青に染められ 世界は終わりを告げたのだと悟った それなのに春がもう一度訪れることを知った 季節は円を描き巡…
夜の火車駅はむき出しの心が隠れ住む 昼間にはこの世にたどり着けなかった思いが 寂しさという温度を連れ込んで やがて暗闇の線路へと発進する どこへと流れ着くのだろうか 知っているのに誰もが不安に…