喪失と発見

もの知らぬわたしたちは
たかが小さな時代だけを切り取り
その中で喪失したと嘆いては
天を恨み自らを傷つけた

もの見えぬわたしたちは
偉大な者たちの意図を見出せずに
やがて還ってくるものを手放したと見誤って
悔やむことに生きる時を費やした

何ひとつ持たずに生まれついたのに
何ひとつ失くすわけがないね
何ひとつ持たずに立ち去っていくのに
何ひとつ得ないのも同じことだね

案ぜずとも必ずまた巡り会うだろう
いくつかの命の軌道を駆け抜けて
いくつかの心の重なりを通り抜けて
いつだってあなたに帰り着いた

わたしたちは忘れゆく生き物
けれど根源の記憶だけが密やかに辿ってゆく
核に刻まれた暗号たちが共鳴して指し示す
本当に大切なものがどこにあるのかを

「自分だけ幸せになりたかった」とノンケの彼は告白し、それ以来ぼくは彼の部屋を訪れることはなかった

同性愛者として生まれた水色の少年は、この人生で幸せにはなれないのだと悲しい覚悟をした

オパアル

無所有の光