あなたがこの世に生きていることを
誰も褒めてはくれないけれど
ぼくはあなたのことを知っている
今生きているのが奇跡だっていうこと
苦しみの海をよく生き抜いたね
降り注ぐ罪を全身で受け止めて
それでもなお立ち上がろうとした強さを
ぼく以外の誰も知らない
生きていてくれるだけでいい
遠い昔にあの人が髪を撫でてくれたように
ぼくがあなたの髪に触れよう
心から慈しむことを誓って
あなたは他者からの欲望に巻き取られて
どこまでもどこまでも貪られる
けれど魂は何ひとつ持たないことを望んでいる
ぼくは行こう 清らかな森の奥深くへ
あなたのことを何も知らない者たちが
あなたから何もかもを奪おうと企む
ぼくとあなたは同じ色の果実を持った少年
ふたりきりで行こう 孤独を潤わせて