光の中の光
青い衣の揺れが 風の姿を示す けっして見ることのできない鏡を 魔法のようにぼくに見せる 青い衣の影が 光の在り処を伝える 光の中では見つからなかった 光の中の光をぼくに問う 青色の衣をひとつまとって 旅立つ…
青い衣の揺れが 風の姿を示す けっして見ることのできない鏡を 魔法のようにぼくに見せる 青い衣の影が 光の在り処を伝える 光の中では見つからなかった 光の中の光をぼくに問う 青色の衣をひとつまとって 旅立つ…
悲しいことを思い出さずにいられるのは あなたが自分を匿っているから 思い出させてあげよう 今までの悲しみを余すことなく 自分の罪を思い出さずにいられるのは あなたが自分をこの世で生かすため 思い出させてあげ…
青い液体はつくられる まるで永遠をともなうように そしてぼくたちは誤る 若さも青い永遠をまとっているのだと どれほどに放っても とめどなく生まれ出づる青い液体 何度終わっても 潤いを繰り返す甘い果実 君は知…
ぼくの話す声がある ぼくの笑う声がある ぼくの歌う声がある そのどれとも違う声を君は聞く 君のささやく声がある 君の尋ねる声がある 君の告げる声がある そのどれとも異なる声をぼくは聞く 果実をそっと触られた…
君は問う ぼくは問われる わかりきった果実の名を そしてふたりはよろこび合う わかりきったことを聞かれて わかりきったことを口にすることが 魔法のようにぼくを 衣をはがすよりも裸体にする ぼくだけが裸になっ…
北の大地を照らす薄暗い光も 碧い王国に照りつける黄色い光も どれもみな同じ恒星からの光 ひとつも違(たが)わずに等しい光 北の大地に寄りかかる灰色の海も 南の島々を取り囲む宝石の海も どれもみなつながり合う…
雪の降る音をわすれていました はるか彼方の碧い国に住んでいたから すべての分子が動くのをやめ 時が氷の中へと帰りゆきます ふたつの果実を白い雪がつつみ 永久の眠りについたころ やがて訪れる春の光だけをたより…
風の姿に手をのばせば そこは風の始まり 始発の列車に乗り込んで 新しい景色が始まっていく 走り始めた理由を 誰もが知らないのに止められない 真空の銀河を駆けるように 迷いのないまなざしが線路をよぎる &nb…
真っ白な冬の訪ね人 ぼくを迎えに来た 冬を捨て去ったぼくを 目覚めさせるように 動から静へと傾く世界 微かな物音さえも消えていく ぼくは自分の命さえ 消えはしないかと掌の熱を聞いた ロシヤの冬は寒いだろうか…
文字を持てば 過去を残してしまう 過去はやがて捻じ曲げられ 濁った真実が世にはびこる 残すなんて不潔だ もしも文字を持たなければ 言葉は瞬間の炎の中で 美しく始まり終わることができたのに 言葉は霊力を持つけ…