果実の熱
ぼくの果実を優しく包んで 君の生み出したあたたかい温度で ぼくの果実は逃げられなくなる それは君の体温しか知らない 自らですら生きる熱を 確かに持っているはずなのに 他の体温に触れられただけで その人をさが…
ぼくの果実を優しく包んで 君の生み出したあたたかい温度で ぼくの果実は逃げられなくなる それは君の体温しか知らない 自らですら生きる熱を 確かに持っているはずなのに 他の体温に触れられただけで その人をさが…
みんなが見ていると言わなければ だれも見てくれやしない みんなが聞いていると噂しなければ 浮世は聞き入れはしない 本当に見たいものはなに 本当に聞きたいものはどこ 誰もが自分のことなのに 誰もがわからず惑っ…
わかりあえる人ならば 一生にひとりいれば十分だ 触りあえる果実なら この世にひとつあれば幸福だ 君の果実の色しか知らない そのままで人生を終えたい ぼくの果実の熱しか知らない そのままの君と眠りたい すれ違…
果実を触っているのに 何も感じないなんて不思議だ 今までは果実を触ればば必ず ぼくは感じていたはずなのに ぼくはぼくの果実しか 触ったことがなかったから 果実を触れば必ず ぼくは快楽を感じてい…
わたしは常識を信仰しない わたしは感性を信仰する 疑わしい違和感を感じるものには 常識だろうと進みゆかない この世では 生きにくいことこそ美しい 浮世では 蔑まれることほど尊い 誤りばかりの世の中で 上手く…
どれくらい自分の果実で 遊ぶのと君は尋ねた ぼくは恥ずかしくなって すぐに君から顔を隠した 俺は毎日だと 告白した君の笑顔 まだ誰も触れていない果実を 君は毎日触るんだね ぼくも毎日だよと 君…
ふたりにしか入ることのできない 秘密の鍵をねえ 他の誰にも渡さないでね 春の光そそがれる秘密の楽園に ねえ他の誰も 道を教えないでね 君をひとりじめしたいんじゃなくて この楽園を おかしな色で染めたくないん…
青色の衣が揺れるように 旅のさなかで歌声を揺らそう 木漏れ日の揺れが風の姿を示すように 歌の揺れが心の風を起こすよ 光と影が入り混じる世界で ひとり安らかに坐する夢 樹木と水の清らかな聖域で 休息することこ…
1人で見える景色と 2人で見える景色は まったく違う 1人でいるときには 2人で見える景色を見失い 2人でいるときには 1人で見える景色を見失い 結局は何かを こぼれ落としながら 生きるしかない そのように…
ぼくたちだけの秘密 誰にも知られてはいけない それなのに幸福は 光の部屋の中で起こされた 触りあう果実が どちらもとけそうになって 少しでも強く握れば 砕けて落ちてしまいそう 君が誰にも見せない 果実の形を…