時の梯子

 

旅がぼくを洗い流す
清らかな風で洗い流す
これまで生きて来たこと
これから生きていくこと

すべてをなかったことにする
過去を省みること
未来を思い案じること
虚しい時間を荒野の中へ返す

イマ旅をしていること以外に
重要なことがあるだろうか
時の梯子を外された魂に
腕時計が存在するだろうか

たったひとつの軌道のさなかでさえ
時の基準は移り変わる
たったひとつの人生のさなかでさえ
日の光と月の光は交差する

横へと移動するたびに
変わりゆく今日と明日の境い
縦へと移動するたびに
変わりゆく昼と夜の境い

ぼくは旅の中で何度も生まれ変わり
歳をとらずに殻を脱ぎ捨てる
瞬間・瞬間を世界と分かち合い
もはやどこにも同じぼくはない

遠くへ行こうと走り去る子供
それを母親が阻止する
何度叱りつけ説こうとも
子供は逃れて外の世界へ走り出す

 

 

 

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