美しいものしかいらない
旅をゆく果てない線路の上で
ありふれた偽物はいらない
直感だけが美を選び取る
軌道を横切る惑わしの風
列車を遮るまばたきの雨
わたしのからだは真空のように
妨げを通り抜けていく
わたしの中には地図がある
生まれる前からの羅針盤がふるえる
この生命の奥深くに
直感として宿る北極星が浮かぶ
氷の大地にたたずんでいた
わたしの心の知らぬうちに
オーロラに照らされて眠っていた
氷の軋む音にゆられて
わたし以外に誰もない道
通りすがるは異国のひとびと
わたしは闇へととけてゆく
闇の中でしか美しいものが見えない
誰もいないはずの荒野に
浮かび上がる氷の足音
見えない誰かが忍び寄っては消える
美しい光を見せるために
宇宙と氷とわたしの世界を
引き裂くように訪れる夜空の魔法
魔法のあとはひとつになって
宇宙も氷もわたしの世界