誰かのすべてになんて容易にはなれない
誰かのすべてになんて本来はなれない
けれどそれでは生きるのが孤独でしょう
誰かのすべてになりたいと誰もが叫んだ
あなたのいちばんになりたいと願った
あなたのいちばんでなければ生きられなかった
そんなこと無理だと自分に言い聞かせても
ぼくの中の野生がただひたすらに求めた
誰かのすべてになるために
人間ができることはただひとつ
この世に誰かを産み落とすこと
この世の女にだけそれはゆるされる
迷妄の移り変わる世界の中で
他人の全てになんか決してなれないね
かろうじてできることは産み落とすこと
自分の遺伝子を植え付けて護り抜くこと
赤子の頃は誰だってお母さんがすべてだった
幼い頃は誰だってお母さんしか要らなかった
男に生まれたら孤独になるしかないの?
ぼくには体内に赤い宮殿がない