ぼくが死ぬ理由 〜死と火焔の詩集〜

 

わたしはわたしの火焔に焼かれ この命を失うだろう

ぼくが死ぬ理由 〜死と火焔の詩集〜

・ぼくが死ぬ理由【2018年8月21日】
・死の国【2018年8月8日】
・赤い河【2018年3月18日】
・火焔の柱【2018年4月5日】

・ぼくが死ぬ理由【2018年8月21日】

将来の夢を
聞くことをやめよう
君がどんな子供だったかを
ぼくは君に尋ねよう

逃れられないただひとつの定めの中で
未来を見通すことなんてできるだろうか
ただIMAの瞬間を炎のように生き抜く他に
生きるという景色を知らない

明日を語れるなんて
およそ背負うものの少ない人の話だ
誰かの真似をして生きられる
ぼくが望んでも届かない国の物語だ

この先のことなんて疎ましい
昔むかしの話をしようよ
どんなものが好きだったの
どんな風に生きていたの

根源にある赤い炎に
飲み込まれていくように
遠ざかれば遠ざかるほど
赤は熱さを増していくんだ

情熱の中に貫かれた
思いを頼りに人生を彩ろう
燃え尽くされて消えていくから
ぼくはいつか死んでいくんだ

ただ時間の過ぎるせいなんかじゃない

 

 

・死の国【2018年8月8日】

知りたい
生まれて来たのに
なぜ死んでいくのかを
炎の中で

泣きたい
死んでしまったのに
なぜまた生まれるのかを
海の中で

終わりのない火炎をくぐり抜けて
夢のように過ぎていく生きている時間
生きているのか死んでいるのか
わからないまま胸を焦がす

終わりのない水脈をくぐり抜けて
抜け出せない彷徨いの水車
旅立ちの予感を常に抱きながら
確かな熱だけを携えて

見知らぬ異国へと足を踏み入れれば
時間を長く感じてしまう
ぼくたちは見知らぬ国へとしか向かわないのに
時間を加速させて愚かに苦しんだ

死の国よ
見知らぬ国よ
時を幻影だと気付かせて
もう一度 時の異国へ

 

 

・赤い河【2018年3月18日】

赤の色彩が眠っている
ぼくの核で眠っている
生まれる前から燃えている
死んだ後も燃えるのだろう

一生という限られた部屋を超えて
ぼくたちは何をつなげるだろう
肉体は消え果てて
心さえも滅びて

その後にさえ燃えている色彩はきっと
命の始まりの前からの色彩と同じだ
すべてはひとつの長い河となって
ぼくらの命を貫いていく

ぼくらは生きたのではなく
ぼくらはただ生かされていたんだ
ぼくらが命を貫くのではなく
ぼくらはただ貫かれていた

鋭く深い赤い河
濃厚な色彩が水なのに燃えている
水と炎が一体となって
人間の手の届かぬ音を響かせる

「生まれる前には何があったの」
「死んだ後には何があるの」
「生まれる前から決まっていたことは」
「死んだ後にさえ残る定めは」

不動明王が燃えている
誰も知らぬ紀伊山脈の奥深くで
青い顔をして燃えている
琉球諸島の果てに彼を見つける

大学時代、ぼくは片思いしているノンケの友達に膝枕されるのが好きだった

 

・火焔の柱【2018年4月5日】

青色が好きなのに
根源にはいつも火焔が燃えていた
絶えることのない火焔の柱
もしも一生を超えるものが
あるとするならば
この熱に他ならない

肉体は滅びるだろう
精神は崩れるだろう
火焔だけが 火焔だけが

生まれる前から燃え盛るだろう
死んだ後も引き継がれるだろう
火焔だけが 火焔だけが

わたしはわたしの火焔に焼かれ
この命を失うだろう
けれどほんとうはなにひとつ
失っていないことに気がつく

 

 

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燃えている少年【2015年1月2日】

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裸体で泳いだ宇宙の海に導かれ、ぼくは人がなぜ死ぬのかを知った

死なないことよりも守りたい願いを見出せ

死んだらすぐに忘れ去られるからこそ、あなたの生命は清らかで美しい

死の国への旅立ちは、ポルトガルへの旅立ちときっと同じ

生と死の旅立ち