どうでもいい出来事に
絡まって動けない浮世は蜘蛛の糸
抜け出せばたちまちに
おそろしい怪獣が食いちぎる
そんな呪いの言葉を真に受けて
動けずにいた小動物の群れ
迷える魂を支配しているのはいつも
怯えて生きてきた腑抜けどもだ
異国へ旅立つ前からすでに
異国を生きてきた魂がいる
彼らの孤独が聞こえるか
彼らの鏡に向かえるか
この世を旅立つ前からすでに
この世にいない涙が流れる
どうしようもない定めの糸を
浮世の糸に見立てられない
祖国はどこにありますか
機械に乗って帰ろうと
ぼくの祖国は透明で
ぼくをすり抜けてしまうだろう