ふたつの裸体

 

ぼくが本当に欲しい言葉を
誰も与えてくれませんから
自分で伝えてやるのです
自分に伝えてやるのです

ぼくが本当に聞きたい歌を
誰も歌ってはくれませんから
自分で歌ってやるのです
自分に歌ってやるのです

ぼくが本当に食べたい味を
誰も提供してはくれませんから
自分で作ってやるのです
自分に作ってやるのです

ぼくが本当に欲しい服を
誰も表現してはくれませんから
自分で布を裁つのです
自分の布を裁つのです

ぼくが本当に心地よい場所を
誰も触ってはくれませんから
自分で触ってやるのです
自分を触ってやるのです

他人なんて取るに足らないものだと
わかっていてもあなたを求めてしまうのは
ぼくが破片であることを知った朝
ぼくのすべてが鏡に映し出されなくなった光

ふたりの裸体が鏡にすべて
映し出される日を祈っている
全体として生まれたということが
よみがえる夜を信じている

 

 

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他人の目を気にして「部品」になるよりも自分を貫き「全体」としての生命を生き抜こう