血脈の別れ

 

 

何も持たなくてもここにいてもいいのだと
言ってくれる光はどこ
このままではならぬと洗脳する悪魔が
浮世の人々の心を食い荒らしている

何の役に立たなくても生きていていいのだと
ゆるされるための灯はどこ
今という幸福を享受することを忘れて
人々の瞳は見知らぬ未来を見ている

案じても仕方のないことに
戸惑い嘆き苦しみながら
彼らの心は荒廃していく
必要のない思い煩いを抱きしめながら

今ここにある二度と戻らない
かけがえのない時を手放して
一体なにを掴み取ろうというの
聡明な瞳を開きなさい

誰かに言われたことだけを
従順に信じ込んでばかりだ
それでは川を渡ることはできない
向こう岸の景色をのぞくことはできない

ぼくは愛するあなたたちと
共に歩みを進めて生きたかったけれど
潔く見捨てていく他はないだろう
自分より愚かな者を道連れにはできない

悲しいのは愛する人々が
聡明ではありえないこと
どうしてもかけがえのない瞳が
この世では見つけ難いこと

同じ血を分かちあい
この肉体を創造し給うたのに
どうして愚かさをふりかざし
血の下流を嘆かせるのだろう

はるかなる血脈の源流へと遡り
やがてたどり着くその国には
あなたたちが待っていてほしい
たとえ今は離れ離れになっても

 

 

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