少年の手の中の果実
あふれ続ける青い液体は ぼくが野性であることの証し とめどなく流れ出る印し ぼくは完全に人間になれない もはやなくなったと思っても すぐにまた果実は満たされる 果実に蓄えられる生命の幸福 果実からあふれ出る…
あふれ続ける青い液体は ぼくが野性であることの証し とめどなく流れ出る印し ぼくは完全に人間になれない もはやなくなったと思っても すぐにまた果実は満たされる 果実に蓄えられる生命の幸福 果実からあふれ出る…
100歳のおばあさん 可愛らしい子供に帰るよ 0歳だった頃の 自分自身に戻るよ どのような人間に仕上がろうとも ぼくたちはやがて子供に帰るよ 根源にどのような添加物が付着しようとも 清らかに削がれて祖国へ戻…
なにひとつ手放すことがないように この世で最も美しい衣をあげよう 過去と未来を揺らぐ光の絹の波 欠けてゆくことは幻だと告げよう 過去の言葉たちの中は 宝物であふれている いずれもぼくが生み出した言葉 他人の…
青い衣の揺れが 風の姿を示す けっして見ることのできない鏡を 魔法のようにぼくに見せる 青い衣の影が 光の在り処を伝える 光の中では見つからなかった 光の中の光をぼくに問う 青色の衣をひとつまとって 旅立つ…
青い液体はつくられる まるで永遠をともなうように そしてぼくたちは誤る 若さも青い永遠をまとっているのだと どれほどに放っても とめどなく生まれ出づる青い液体 何度終わっても 潤いを繰り返す甘い果実 君は知…
ぼくの話す声がある ぼくの笑う声がある ぼくの歌う声がある そのどれとも違う声を君は聞く 君のささやく声がある 君の尋ねる声がある 君の告げる声がある そのどれとも異なる声をぼくは聞く 果実をそっと触られた…
君は問う ぼくは問われる わかりきった果実の名を そしてふたりはよろこび合う わかりきったことを聞かれて わかりきったことを口にすることが 魔法のようにぼくを 衣をはがすよりも裸体にする ぼくだけが裸になっ…
ぼくの果実を優しく包んで 君の生み出したあたたかい温度で ぼくの果実は逃げられなくなる それは君の体温しか知らない 自らですら生きる熱を 確かに持っているはずなのに 他の体温に触れられただけで その人をさが…
わかりあえる人ならば 一生にひとりいれば十分だ 触りあえる果実なら この世にひとつあれば幸福だ 君の果実の色しか知らない そのままで人生を終えたい ぼくの果実の熱しか知らない そのままの君と眠りたい すれ違…
果実を触っているのに 何も感じないなんて不思議だ 今までは果実を触ればば必ず ぼくは感じていたはずなのに ぼくはぼくの果実しか 触ったことがなかったから 果実を触れば必ず ぼくは快楽を感じてい…